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北海道地震・厚真町 不安抱え「日常」へ 家片付け「少し前向きに」

社会

2018年9月9日 朝刊

地震の被害を受けた家の中を子どもたちと片付ける木村笑さん(右から2人目)。壁は大きくひび割れ、壁紙がはがれている=8日、北海道厚真町で

 地震前の日常を取り戻せるのはいつか−。北海道のほぼ全域に及んだ停電が八日に解消され、震度7を記録した厚真(あつま)町でも、被災者が自宅に戻るなど生活再建の動きが出始めた。だが、水道復旧のめどは立っておらず、続く不安に疲れをにじませる。

 厚真町新町の二階建て住宅。居間には電気コードや衣類が散乱し、壁にあった換気扇が床に転がる。「居間の次は玄関の靴棚と二階の踊り場の片付け、集めたごみも捨てないと」。夫や娘四人と暮らすパート木村笑(えみ)さん(38)は娘らと汗を流した。

 停電と断水で食事も作れず、六日朝に小学三年から中学二年までの娘らを連れ、近くの中学校の避難所に身を寄せた。しかし、物音を立てないよう気を配る生活にいたたまれず、救助作業に携わる夫が帰ってきた七日夜に家に戻った。

 壁には至るところにひびが入った。八日も余震が続き、倒壊が怖い。それでも娘たちが家で元気にはしゃぐ様子を見ながら「わが家はやっぱり安心」とほっとした表情を見せた。

 八日未明に電気が復旧。ライフラインの一つが戻ったのは明るい材料だ。「日常が戻るのは一カ月以上かかるでしょうか。でも少し前向きになれました」

 厚真町中心部の一軒家で暮らす主婦佐藤陽子さん(67)は、混雑する避難所へ行かず、夫と自宅で生活を続けている。割れた食器類やガラスなどは、ほうきで片付けて住める状態にできた。とはいえ、電気と同様に重要なインフラである水道は止まったままだ。

 備蓄したペットボトルの飲用水でしのいできたが、八日朝に尽きた。「お風呂も入れないのは大きなストレス」と佐藤さん。浴槽の残り湯を少しずつ使って体を流している。この日は夫がポリタンクを車に積み、隣の苫小牧市までくみに出掛けた。

 町によると、町全域で断水は続きそうだ。佐藤さんは「水道さえ元に戻れば、これまで通りの生活に近づける」と望んだ。

 町内の小中高校は十四日までの休校を決めた。厚真中央小の池田健人(けんじ)校長(51)は「子どもたちが通学できない状況が長期化するのを見据えて、教員の配置や児童を訪問してケアに努めることも検討しなければ」と話した。 (安福晋一郎、河北彬光)

 

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