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「うそでしょ」土砂に両親奪われ 遺体と対面、祖母も不明に 北海道地震

社会

2018年9月8日 朝刊

 土砂崩れで多くの民家が巻き込まれた北海道厚真町では七日、町内の遺体安置所に亡きがらが運び込まれた。「うそでしょ」「早すぎる」。両親の遺体と対面した兄弟は、死を受け止め切れないように話した。

 地震が起きた六日、兄の中村真吾さん(42)と弟の清人さん(41)は、連絡が取れない父初雄さん(67)と母百合子さん(65)を心配して実家に駆け付けた。実家が土砂にのまれ、信じられない光景が広がっていた。

 自衛隊などによる夜通しの捜索を見守った。見覚えのあるアルバムが数冊、見つかった。百合子さんが家族の写真を集めたもの。「この近くにいるはず」。真吾さんは、アルバムが両親の寝室の隣部屋にあったことを覚えていた。見取り図を描き、自衛隊員に渡した。約四時間後、その場所の約三メートル下の土砂から二人の遺体が見つかった。

 農家として長年働いた初雄さんは、頑固だけれど誠実。百合子さんは優しく、物を大切にする人だった。今年のお盆にバーベキューを楽しみ、元気な姿を見たばかり。両親と暮らしていた祖母の君子さん(93)は行方不明のままだ。

 七日午後、安置所で見た両親の顔は「きれいだった。苦しまなかったんだな」と清人さん。「夢だよね」。眠っているように見えた両親に真吾さんは力なく話し掛けた。 (天田優里、斎藤雄介)

 

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