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築地ネズミ 逃がさぬ 板で外周包囲 都が駆除作戦

社会

2018年9月6日 朝刊

築地市場外周の金網内側に波状の樹脂板を取り付ける作業員=5日、東京都中央区で

 築地市場(東京都中央区)の閉場を一カ月後に控え、都は場内のネズミ駆除に本腰を入れている。すみかやえさがなくなったネズミが周辺に逃げ出さないよう、周りを板でふさぎ、粘着シートなどで捕まえる作戦だ。しかし、ふさぎきれない箇所もあり、専門家は「拡散を完全に防ぐのは難しそう」と指摘する。 (梅野光春、神野光伸)

 八月下旬の平日午前十一時すぎ、ねずみ駆除協議会(川崎市)会長の矢部辰男さん(77)と外周を歩いた。矢部さんは五十年にわたり、ネズミの生態を研究してきた。「これはドブネズミの子ども。足の裏が白っぽいでしょ」。歩いて三十分ほどで、敷地外側の地面に横たわる約一〇センチの死骸を見つけ、教えてくれた。

 都によると、築地市場には魚を好むドブネズミと、果物などを食べるクマネズミが生息。五月と八月の一斉駆除では、ドブネズミを中心に計千四百匹以上を捕獲した。生息数は不明だが、矢部さんは「敷地が広く魚の切りくずなど餌は豊富」と、ネズミが繁殖しやすい環境だと指摘する。

 移転後に建物の取り壊しが始まると、すみかを失ったネズミが逃げ出す恐れがある。市場近くのすし店経営者(64)は「徹底的な駆除を」と心配顔だ。都は九月中旬までに波状の樹脂板などで周囲をふさぎ、一斉駆除をさらに四回実施する。殺鼠(さっそ)剤や捕獲用の粘着シート四万枚を準備している。

 市場の敷地は、金網や金属柵によって隣接地と隔てられている。矢部さんは「このままならネズミは金網の目などから出入り自由。でも、内側に高さ一メートル以上の板を立てれば、足が滑って上れず、外に出られない」と都の作戦に理解を示す。

 だが、実は抜け道も。十月六日の閉場後も正門など三カ所の出入り口は解体準備の車が行き来するため、開けておくからだ。矢部さんは「門のすみの目立たないところを通って逃げそう。市場に近い店は、不要な物を捨てて掃除しやすくし、餌になる生ごみはふた付きバケツに入れるなど、ネズミがすみ着かないよう対策を」と呼び掛ける。

 いったん逃げ出すと、周囲の店舗などを拠点に餌場を探し、二〜三キロは移動する危険性があるという。「駆除作戦としては史上最大規模だけに、成功してほしいが…」としつつ「一九九一年に都庁が丸の内から新宿に移った時、旧庁舎からクマネズミが周囲に拡散するなど、駆除しきれない事例もある」と懸念する。

 引っ越しの荷物に紛れ込んだネズミが、移転先の豊洲市場(江東区)にすみ着く可能性もある。矢部さんは「(引っ越しの)トラックに入り込まないように注意が必要。ドブネズミはかつて、船に乗って世界各地に広がった歴史もある」と話した。

 

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