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体内にICチップ 手かざして解錠、電子承認 国内でも利用者増

社会

2018年9月4日 夕刊

手に埋め込んだICチップで解錠する「お多福ラボ」の浜道崇社長=8月4日、大阪市で

 センサーにかざすだけで解錠や電子承認ができる極小のICチップを手など体内に埋め込む人が国内に出始めた。利用者は三十人以上に上るとされ「人間と機械の融合」に向けた第一歩の技術と歓迎するが、日本では医師以外が他人へ埋め込むと医師法に違反するとの指摘がある。電子決済など対応するサービスが増えれば国内でも普及する可能性があり、安全性確保などの議論が求められそうだ。

 大阪市中央区のIT会社「お多福ラボ」。浜道崇(たかし)社長(39)が入り口のセンサーに手を近づけると、扉に設置された機器が青く光り「ガチャン」と解錠した。二月に近距離無線通信のチップを人さし指と親指の付け根付近に埋め込んだといい「鍵が要らなくて本当に便利」と笑う。

 チップは直径二ミリ、長さ一センチほどの円筒形で海外の企業が販売。米国ではコピー機の使用や買い物ができるように、希望する従業員の手に埋め込む企業も現れた。スウェーデンでは電車の乗車券の代わりに使えるサービスもある。パスワードを打ち込まずにスマートフォンが使えるなどの利点もあるという。

 ただ日本では近距離無線通信の技術は鉄道の改札などに使われている「FeliCa(フェリカ)」が主流。浜道さんが埋め込んだのは「タイプA」と呼ばれる別のチップで、利用できる国内サービスは限られている。フェリカ対応の体内用チップは普及しておらず、お多福ラボではタイプAの利便性を国内で高めようと、社内手続きの電子承認に使える技術の開発を進めている。

手の上に置かれたICチップと埋め込み用の注射針

 浜道さんの説明では、現在流通するチップは記憶容量が少ないが、性能が上がれば利便性が上がる。一方で個人情報などセキュリティー保護の問題が出てくるといい「国内でどんなサービスが適しているのかを考えたい」。

 国内の事情に詳しいチップを埋め込んだ男性(43)によると、日本では、すでに三十人以上が「自己責任」で埋め込んでいる。多くは二十〜三十代で、スマホのアプリ開発者などのIT関係者が多いという。

 ただ埋め込み方法には課題がある。体内に入れるための注射針は医療機器に当たるため個人輸入ができない。医師以外の人が他人に埋め込むと、タトゥーのように無資格で医療行為を行ったとして医師法違反に問われる恐れがある。人体への影響はほとんどないとされるが、長期的な影響は、よく分かっていない。

 男性は、素人が無理に自分で埋め込むと大量出血や感染症にかかる恐れがあると指摘。「利便性が高く普及する可能性がある技術だからこそ、埋め込みを請け負う施術者の免許制度などを作り、安全な利用環境を整備すべきだ」と話している。

 

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