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発達障害、カードで伝える 当事者の女性考案「私の症状は…」公表後押し

社会

2018年9月4日 夕刊

「私の症状カード」考案者の宮崎菜摘さん=いずれも宮崎さん提供

 「私はこだわりが強く、大きな音が苦手です」−。職場やプライベートで発達障害と明かすことができない人の周囲への公表を後押ししようと、自らも発達障害と診断された女性が一目で他人に症状が伝わる「私の症状カード」を作った。七月から全国に配布を始め、社会生活を円滑に送る手助けになると期待されている。

 考案したのは奈良県に住む宮崎菜摘(なつみ)さん(27)。大学卒業後に発達障害と診断された。就職にも苦労したが、現在は広告代理店でグラフィックデザイナーと営業職を兼ねて働き、会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合った仲間たちと発達障害の啓発活動を行っている。

 カードの使い方はシンプルだ。「感覚過敏」と「苦手なこと・困りごと」の二つの項目にそれぞれ「大きな音」「特定の触覚」「落ち着きがない」「こだわりが強い」などの選択肢があり、自分に当てはまるものを丸で囲む。発達障害に伴いやすい、うつなどの症状を手書きで記入する欄もある。

 大きさは名刺大で、保護者が子どもに持たせて学校生活で困った際に教職員に見せたり、被災時に避難所でボランティアやほかの避難者に示したりするなど、さまざまな場面を想定して宮崎さんがデザインした。

 これまでに埼玉、東京、愛知、大阪、奈良、和歌山の各都府県の社会福祉協議会や支援団体にカード計三千百枚を配布。ほかにも要望があり、順次、配布を進める。

 宮崎さんは以前から、SNSや自助会を通じた発達障害者同士のつながりは強いが、内輪の付き合いで終わってしまうことに危機感を抱いていた。だが障害をいきなり社会全体に啓発するのは無理だと考え「まずは身近な人に知ってもらうことから始めてみては」とカードを考案した。

 目指すのは、発達障害だと告げても「そうなんだ。何が得意?」と周囲が当たり前に言ってくれるような世界だ。

<発達障害> 自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの総称。脳の機能障害が原因とされる。コミュニケーションが苦手、物事を計画的に進められないなど症状はさまざま。音や光に対する過敏な反応を伴うこともある。幼少期に症状が現れることが多いが、大人になってから診断されるケースもあり、就労支援などが課題となっている。

発達障害の症状が一目で他人に伝わる「私の症状カード」

 

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