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関東大震災95年 歴史と向き合う 朝鮮人虐殺、都知事追悼文なし

社会

2018年9月2日 朝刊

関東大震災での朝鮮人犠牲者追悼式典で黙とうする人たち=1日午前11時58分、東京都墨田区で

 昨年に続き、東京都の小池百合子知事から追悼文は届かなかった。関東大震災から95年の1日、民間団体が都慰霊堂(墨田区)の横で営んだ朝鮮人虐殺犠牲者の追悼式には約700人が訪れた。参列した市民に聞くと、追悼文見送りが発する「負のメッセージ」や、虐殺の史実にあいまいな発言を続ける知事の歴史認識に懸念を強めていた。 (辻渕智之、榊原智康)

◆差別助長しかねず

 東京都立川市、日中友好協会役員の大田宣也(のぶなり)さん(78)

 当時の虐殺では朝鮮人だけでなく、中国人も多く殺された。自然災害で命を失った人と、生き延びたのに殺された人では命の奪われ方が本質的に違い、追悼文を出さないのはおかしい。

 中国人の犠牲者も含めて追悼する式典が東京でこうして続いているのは、中国でも評価されている。東京と北京は友好都市。真の友好や交流を目指すなら、小池知事が追悼文を出すのは当然だ。小池知事の判断は民族差別や偏見、ヘイトスピーチを助長しかねない。

◆ヘイト防止に逆行

 東京都墨田区、パート職員渡辺つむぎさん(45)

 小池知事が今年も追悼文を送らず、地元の墨田区長も送付しなかったのはとても残念。知事は「亡くなられたすべての方々に哀悼の意を表している」というが、個別に追悼の気持ちを示してほしい。

 虐殺された人数については見方がいろいろあるが、虐殺があったのは事実。たとえ人数が少なかったとしても繰り返されてはならず、そのためにも個別に追悼すべきだ。

 都はヘイトスピーチ防止のための条例を検討しているが、追悼文取りやめはその動きに逆行するのでは。

◆歴史隠そうと映る

 さいたま市西区、在日コリアン三世の禹純玉(ウスノ)さん(47)

 歴代の知事は虐殺を記憶にとどめるため、追悼文を出してきた。小池知事があえて断るのは、この人災の歴史を隠そうとする態度に映る。虐殺の根底には朝鮮人蔑視があった。何が起きたのかを正しく知り、正面から見すえないと、未来への教訓を忘れてしまう。

 小池知事はダイバーシティー(多様性)をうたうのなら、五輪やパラリンピックに訪れる世界の人はもちろん、すでに足元にいる隣人である外国籍の私たちとの関係も大事にしてほしい。

 

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