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海洋放出 44人中42人反対・慎重 トリチウム水 公聴会終了

社会

2018年9月1日 朝刊

 東京電力福島第一原発で貯蔵中の放射性物質トリチウムを含む水の処分を巡り、政府の有識者会議は三十一日、福島県郡山市と東京都千代田区で公聴会を開き、二日間の日程を終えた。この日も、政府が有望視する海洋放出への反対意見が続出。会議の山本一良(いちろう)委員長(名古屋学芸大副学長)は、タンクに長期貯蔵する案の検討や、再度公聴会を開くことに前向きな姿勢を示した。政府方針決定までの議論は長期化が予想される。

 海洋放出には、前日の福島県富岡町と合わせた三会場で意見表明した計四十四人の個人や団体代表者のうち、四十二人が反対か慎重な姿勢。条件付きの容認は二人だけだった。

 トリチウム水の貯蔵量は九十二万トンに上り、政府と東電はタンクの置き場が限界間近で処分が必要という立場。二年前に別の有識者会議は、海洋放出や蒸発による大気放出など五つの処分方法を提示した。いずれも福島第一の敷地外に捨てるため、どの会場でも、現行のタンクや新設の大型タンクで長期貯蔵する提案が多く出た。山本氏は報道陣に「(今後の会議で)議論はする」と述べた。

 福島第一の汚染水は、放射性セシウムなどが多核種除去設備(ALPS(アルプス))で浄化され、水と分離が難しいトリチウム以外はほぼ残らないとされてきた。だが、他の放射性物質が法令の排出基準を上回って残ることもあることが判明。どの会場でも、意見表明者が「議論の前提が崩れた」と公聴会のやり直しを迫る場面があった。山本氏は「新しくご意見をうかがう機会が必要だとなれば、またしたい」と報道陣に述べた。

 有識者会議は九月七日まで郵送、ファクス、電子メールによる意見提出を受け付けている。問い合わせは、多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会事務局=電03(3580)3051=へ。

 (宮尾幹成)

 

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