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児童虐待、最悪13万件 17年度児相対応 親のDV目撃増え

社会

2018年8月30日 夕刊

 全国に二百十カ所ある児童相談所が二〇一七年度に児童虐待の相談や通告を受けて対応した件数が十三万三千七百七十八件(速報値)に上り、過去最多を更新したことが厚生労働省のまとめで分かった。統計を始めた一九九〇年度から二十七年連続の増加。配偶者への暴力で子どもがストレスを受ける「面前DV」が心理的虐待として認知され通告が増え続けている。同省は一六年度の虐待で死亡した子どもが前年度比七人減の七十七人(心中の二十八人を含む)、今年六月時点で所在不明の十八歳未満の子どもが二十八人いることも公表した。

 夫婦げんかなどささいなケースでの通告もみられるが、三月に東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が両親から虐待されて死亡する事件など深刻なケースも後を絶たず、政府は七月に児相の体制強化など緊急対策を打ち出している。膨大な虐待情報の中から緊急性が高いケースを特定し、速やかに対応する取り組みは急務で、厚労省の担当者は「児相だけでなく、市町村も協力して虐待を防ぐ体制をつくりたい」としている。

 厚労省によると、虐待の対応件数は一五年度に初めて十万件を突破した。一四〜一六年度は16〜20%の高い増加率で推移したが、一七年度は9・1%にとどまった。

 一七年度の対応件数を内容別に見ると、面前DVや無視、暴言など心理的なものが七万二千百九十七件で54・0%を占め、身体的虐待が三万三千二百二十三件、育児放棄(ネグレクト)が二万六千八百十八件、性的虐待が千五百四十件と続いた。半数近くが警察からの通告だった。

 都道府県別では、大阪(一万八千四百十二件)が最多。神奈川(一万三千九百二十八件)、東京(一万三千七百七件)が続いた。少なかったのは鳥取の七十六件、島根の二百三件、佐賀の二百四十八件。増加率は、鹿児島(二・三二倍、八百十八件)、宮崎(一・八〇倍、千百三十六件)、福岡(一・三一倍、五千五百十五件)などが高かった。

 減少した県は山梨など十三県で、一六年度の七県から増えたものの、神奈川県など五都県では対応件数が千件以上増加した。

◆待遇含め児相強化を

<東京通信大の才村純教授(児童福祉論)の話> 度重なる悲惨な事件を受け、国民の意識が高まり、通告が増えている面もある。ただ対応件数が増え、児童相談所の負担が深刻になっている。児童福祉司という仕事は保護者との関係構築など経験が重要で、一人前になるのに十年かかるとも言われている。日々の業務に疲弊して仕事を辞めたり、異動を願い出たりして、ベテランがいなくなり、数年程度の経験しかない職員ばかりという児相も少なくない。これではミスも出る。国は児童福祉司増員を打ち出しているが、経験を持つ人材を確保できるよう待遇改善にも取り組むべきだ。

 

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