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9・16安室さん引退 記録ずくめ 最後のツアー75万人 DVD予約100万枚

社会

2018年8月29日 夕刊

安室奈美恵さんの引退を前に、最後のツアーDVDの告知が並ぶ東京・渋谷駅前で写真撮影する人たち=29日午前、東京都渋谷区で

 歌手の安室奈美恵さん(40)が引退する九月十六日を前に、残された機会を逃すまいとファンの熱が高まっている。最後のツアー映像を収めたDVDとブルーレイが二十九日に発売され、予約だけで百十万枚を突破、音楽映像作品で史上初のミリオンセラーがほぼ確実に。「これほどのスターは最後では」と惜しむ声が相次いでいる。

 二十九日朝の東京・渋谷−。JRの駅舎には「ライブは、私の居場所でした。」と安室さんの言葉が入った大きなDVD広告が掲げられ、スクランブル交差点をはさんだSHIBUYA TSUTAYAには、開店前からDVDを求めて約二十人が列を作った。一階はポスターが張り巡らされ、安室さんへのメッセージを書き込むボードも設置され“安室一色”となった。

 デビュー二十五周年を迎えた昨年九月に引退を発表後、発売したベスト盤のCDは約二百二十七万枚(オリコン調べ)を売り上げた。今年二月からの最後のツアーは国内だけで約七十五万人を動員し、ソロアーティストの一ツアーでの動員新記録を樹立。ステージ衣装などの展示イベントも東京と大阪、福岡、沖縄で開催され、計三十万人以上が訪れた。

 引退前日の九月十五日には、沖縄で音楽ライブに出演する。会場周辺のホテルには宿泊予約が殺到。“引退フィーバー”は過熱するばかりだ。

 「これほどのスターは今後出ないでしょう」。世代・トレンド評論家の牛窪恵さんはメディアの変化からそう予測する。一九九五〜九六年、安室さんの厚底ブーツや茶髪をまねた「アムラー」が社会現象となったが、二〇〇〇年以降はインターネットや会員制交流サイト(SNS)が普及し、人々の好みが細分化した。歌手もブログやSNSで素顔を発信するようになり、山口百恵さんや松田聖子さんといった、ファンが幻想を抱くような大スターは生まれにくくなったという。

 そうした中でも安室さんは私生活をほとんど明かさず、トーク番組にもあまり出演しない。日本では結婚や出産を経て仕事の第一線を離れる女性が多いが、安室さんは三十代から歌やダンスに一層の磨きをかけた。そんな「こびず、ぶれない生き方」が支持された。沖縄県の翁長雄志知事が死去すると、コメントを発表して思いを示した。

 「パフォーマンスや言動から陰の努力や高いプロ意識が分かる。だから四十〜五十代や男性にも支持を広げた」と牛窪さん。

 夢をかなえようと歌う「Chase the Chance」、私があなたのヒーローになると歌う「Hero」…。

 東京・渋谷の店でDVDを買い求めた女性会社員(40)は「最後まで自分を貫いた安室さんは、引退後もずっと私たちの心の中にいる。新たなステージで幸せになってほしい。その彼女を目標に頑張りたい」と力を込めた。引退まで約半月。ファンたちはそれぞれの胸に最後の姿を刻む。

 

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