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球児のポーズ、どこまでセーフ?

社会

2018年8月27日 夕刊

15日の下関国際戦で、三振を奪ってガッツポーズする創志学園の西純矢投手=甲子園球場で

 エース吉田輝星(こうせい)投手(17)を擁し、東北勢初の優勝にあと一歩まで迫った金足農(秋田)の活躍に沸いた第百回全国高校野球選手権大会。甲子園のマウンドで見せた吉田投手の刀を抜くようなポーズや、別チームの投手の派手なガッツポーズが注意の対象となり、グラウンドに立つ球児たちの振る舞いの是非も話題になった。どこまでなら許容されるのか。

 「必要以上にしないように」。十五日の第二回戦。創志学園(岡山)の西純矢投手(16)は、下関国際(山口)の先頭打者から三振を奪ってガッツポーズをした直後、球審から注意を受けた。「自然と出たんですけど…」。試合後、戸惑いの様子を見せた。

 日本高野連の審判規則委員会がまとめた「高校野球・周知徹底事項」では、「マナーについて」の項目で「喜びを誇示する派手な『ガッツポーズ』などは、相手チームへの不敬・侮辱につながりかねないので慎む」と戒めている。

 高野連は「ガッツポーズは自然に出るものなので、それ自体を禁止しているわけではない。今回は審判が過度なパフォーマンスと判断して注意した」と説明。「相手への尊敬の念が大事で、世界大会でもアンリトゥンルール(不文律)があり、度を越えると審判から注意を受ける場合もある」としている。

 一方、金足農の吉田投手の場合は、センターの選手とともにルーティンとして試合中に行っていた「侍ポーズ」について大会本部から注意を受けた。「試合に関係のないパフォーマンス」だからというのが理由だ。その後、吉田投手はしぐさを控えめにしながら続けた。

21日の大阪桐蔭との決勝戦で「侍ポーズ」をする金足農の吉田輝星投手=黒田淳一撮影

 こうした「禁止」に対し、インターネット上では「何がいけないのか、意味が分からない」「感情を出すのはいけないことなのか」「旧日本男児のようで疑問」などと批判の声も多く上がった。他の競技はどうなっているのか。厳しいのは剣道だ。全日本剣道連盟がまとめた剣道試合審判規則の「禁止行為」には「審判員または相手に対し、非礼な言動をすること」と記載。「礼に始まり、礼に終わるのが剣道」とする同連盟は、行為が禁止行為に該当する可能性が高いとして、罰則に基づいて行為者を負けにして退場を命じる場合もあるという。

 サッカーはどうか。日本サッカー協会(JFA)によると、ゴールした選手の「決めポーズ」などが禁止されているわけではないが、状況によって相手を侮辱するなどの悪質な行為と判断されれば、審判から注意を受け、反則を取られる可能性はある。

 スポーツジャーナリストの二宮清純さんは「相手があって成り立つ競技では、非礼と誤解されかねない言動は避け、それぞれの競技の精神にのっとり、リスペクトの念を持ってプレーすることが重要だ」と指摘する。

 一方、金足農の侍ポーズについては「それほど違和感は持たなかった。選手が自らを鼓舞するささやかなルーティンだと思う。高野連は何もかも禁止するのではなく、時代の変化とともに柔軟性のある判断をしてもらいたい」と唱えた。

 

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