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JR西、時速300キロ風圧研修 新幹線トンネル内 至近距離

社会

2018年8月25日 朝刊

 JR西日本が山陽新幹線のトンネル内で、車両検査の社員に最高時速三百キロの高速走行の風圧を至近距離で体感させる研修を行っていることが二十四日、JR西への取材で分かった。

 二〇一五年八月に福岡県内のトンネルを走行中の新幹線で車両カバーが脱落、乗客が負傷した事故を受けた研修で、車両保守の職責の重要性を再認識させるのが目的という。労働組合や労務管理の専門家からは「恐怖感を与え、行き過ぎた研修」と批判する声も上がっている。

 JR西によると「時速三百キロ近接体感研修」と呼ばれ、一六年から実施。ヘルメットと保護めがねを装着した社員を上下線の間にある「中央通路」に座らせ、営業車両が二、三本通過する際の風圧を体感させる。通路は幅・深さともに約一メートルで、普段は線路を保守する社員が利用している。

 研修は不定期に行われ、これまでに広島−新岩国間、小倉−博多間のトンネルの二カ所で計二十四回実施。車両検査の担当者約百九十人が受講した。

 JR西日本労働組合(JR西労、組合員数約七百人)によると、研修を受けた社員から「もう二度と行きたくない」「恐怖体験だ」といった声が寄せられた。五十代男性は取材に「車両通過の際、線路に敷き詰めた石が風圧でパラパラと落ちてきた。部品の落下だったらと思うと怖い」と話した。

 JR西労は「安全面の確保がなされていない」として昨年五月以降、再三にわたり研修の中止を申し入れてきたが、同社は応じていない。

 JR西広報部は「車両メンテナンスの仕事の重要性を再認識してもらうのが目的。社内規定を順守し、受講者には研修の目的や意義、安全措置も説明の上で実施しており、問題ない」として、今後も続ける方針という。

◆ハラスメントに近い

<甲南大の熊沢誠名誉教授(労使関係論)の話> 走行中の新幹線を間近で体感させるという研修は労務管理の良識に反しており、研修の域を超えている。社員に恐怖感や閉塞(へいそく)感を与えるもので、ハラスメントに近く、今すぐやめるべきだ。列車の整備について学ぶためなら、列車が停止した状態の方が適切であり、走行中の列車であるべき技術的な合理性はない。

 

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