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福島の仮設、豪雨被災地へ 解体容易な伝統工法 役目終え岡山で再利用

社会

2018年8月24日 夕刊

福島から運び込まれた木材で組み上げられる木造仮設住宅=岡山県総社市で

 東日本大震災による東京電力福島第一原発事故の被災者が入居していた木造仮設住宅を再利用して、西日本豪雨で被災した岡山県総社市に移築する取り組みが進んでいる。使用されている建築技術は「板倉」と呼ばれ、災害の多い日本で培われた伝統的な工法だ。専門家は「今後の災害でも活用できる」としている。

 九日午後、福島県いわき市から運び込まれた木材がクレーンでつり上げられ、足場に上った十人ほどの大工が次々と組み上げていった。現場では、建築家で筑波大名誉教授の安藤邦広さん(70)が移築を指揮していた。

 安藤さんによると、板倉建築は、地震や水害で移住を強いられる機会の多い日本で生まれ、伊勢神宮などの寺社や米蔵で用いられてきた。スギの厚板を屋根や壁、床に使い、くぎなどを使わずに組み上げる。解体が容易で温度や湿度が一定に保たれ、火事でもゆっくり燃えるといった特徴がある。腐りにくく、百年は再利用可能だ。

木造仮設住宅の内部を説明する筑波大名誉教授の安藤邦広さん=岡山県総社市で

 板倉建築の木造仮設住宅は、十二センチ角の木材や、厚さ三センチの板を重ねたものを使用。通常のプレハブに比べ、三畳ほど広く、ロフト付きで木のぬくもりが感じられる。いわき市で七年間使用され、役目を終えたところに西日本豪雨が発生した。

 「落ち着いたところに住みたい」との被災者の声を受け、総社市が再利用を決定。いわき市から資材を無償で譲り受け、コストと工期の削減に成功した。見学した被災者からは「プレハブよりも居心地が良さそうだ」と好評で、十月初旬までに希望した全四十四世帯が入居予定だ。

 安藤さんは、西日本豪雨では断熱材や樹脂合板への浸水が原因で木材が腐り、改修や再利用が不可能な住宅が多いと指摘。「災害の多い地域では、再建を踏まえた家造りが必要だ」と話している。

 

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