XMenu

広島土砂災害4年 犠牲77人、教訓継ぐ

社会

2018年8月20日 夕刊

「820」の形に並べられた灯籠の前で黙とうする人たち=20日午前4時12分、広島市安佐南区で

 七十七人が死亡した二〇一四年の広島市の土砂災害から四年の二十日、被災地では住民らが犠牲者を悼み、慰霊祭を開いた。今年七月には西日本豪雨が発生し、岡山、広島、愛媛など十五府県で二百二十六人が死亡。住民らは、防災への思いを新たに四年前の教訓を伝える活動を続けている。

 被災した安佐北、安佐南両区では、各地で住民主催の追悼行事が開かれ、広島市の松井一実(かずみ)市長らが献花した。安佐南区の梅林小では住民らが、広島土砂災害と西日本豪雨の犠牲者に一分間の黙とうをささげた。

 父と姉を亡くした大学一年の木原莉子(りこ)さん(18)が遺族代表として献花。報道陣の取材に応じた木原さんは「四年前、怖かったことだけ覚えている。土砂災害を忘れないでください」と話した。

 被災一年後の一五年から毎年、広島県と広島市が主催していた追悼式は、同じ時間帯に各所で地域住民による追悼行事が開かれていることなどから、昨年で終了した。

 警察庁などによると、西日本豪雨では広島県内で百十三人が死亡。多くの人が土砂災害警戒区域の中で亡くなったことから、避難を促すタイミングや危険性の周知方法など、住民避難の課題が改めて浮き彫りとなった。

 広島県は今後、西日本豪雨の被災者らを対象に、避難を決めた頃合いや理由について聞き取り調査を実施し、集まったデータを基に「何が避難行動に結び付くのか」を分析し、減災につなげていく方針だ。

◆悲しみの遺族「風化させず」

 「あの悲しみを風化させない」。広島土砂災害から四年を迎えた二十日、広島市内の被災地では未明から訪れた遺族が最愛の人を忘れまいと祈りをささげた。先月発生した西日本豪雨でも土砂崩れで多くの命が失われており、住民は同じ悲劇を繰り返さないと固く誓った。

 午前二時すぎ、広島市安佐南区八木三では、会社員若松順二さん(55)=香川県東かがわ市=と妻直美さん(56)が、亡き娘の湯浅みなみさん=当時(28)=夫婦の結婚式の写真を手に、花束を慰霊碑に添えた。直美さんは、今でも娘が自宅に帰ってくる夢を見る。「ここはとても静かで四年前の土砂災害がうそのよう。自然の怖さを思い知らされる」と声を振り絞り、「体が動かなくなるまで慰霊碑を訪れるつもりです」と語った。

 広島市安佐北区可部東では午前九時ごろ、献花式の会場となった公園で住民ら約四十人が黙とう。主催した自治会長の梅野輝幸さん(65)は「災害が多い地域だからこそ、一度あったことを伝えていくことが必要だ」と訴えた。

 

この記事を印刷する