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指定医以外も障害者算定 雇用水増し 無効な診断書運用

社会

2018年8月18日 朝刊

 中央省庁が雇用する障害者の数を四十二年にわたり水増ししていた問題で、国のガイドラインで指定していない医師が作成した診断書などの無効な文書を根拠に、障害者数に算定していたケースがあることが十七日、分かった。国の障害者雇用制度は障害者手帳を持つ人と、指定した医師の診断書がある人を対象としているが、中央省庁が十分に確認せず、ずさんな運用を続けていた疑いがある。 

 共同通信の取材に対し、農林水産、総務、国土交通の三省は水増しの可能性を認めた。十近い主要省庁で水増しが常態化していたとみられる。厚労省が六月下旬に本格的な調査を始めたことも判明した。

 民間企業に積極的な障害者雇用を求めている国が、法定雇用率を下回っていた可能性が高いだけに、反発が強まりそうだ。厚労省は昨年度の障害者雇用の実態について全省庁を調査し早急に公表する考えで、水増しが意図的に行われたのか過失なのかが今後の焦点だ。

 障害者雇用を巡っては、二〇一四年に独立行政法人の労働者健康福祉機構(現労働者健康安全機構)が雇用率を水増しし、虚偽報告をしていたことが発覚。一五年三月に機構と元幹部三人が略式起訴され、罰金の略式命令を受けた。厚労省は当時、他の独立行政法人に関して適正な運用を行っているかどうかを確認したという。一方、省庁に関しては詳しく調べることはなかった。

 厚労省のガイドラインによると、対象となるのは原則として身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている人。このほかに、身体障害者については都道府県知事が定める医師や産業医の診断書・意見書がある人、知的障害者は精神保健指定医などの判定書がある人に限って認めている。

◆公的機関 高い雇用率義務付け

 障害者雇用促進法は、障害者の就労機会を広げるため、企業や公的機関に一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇うことを義務付けている。

 事業主に課される法定雇用率は、民間企業が2・2%、国や地方自治体が2・5%、都道府県の教育委員会が2・4%。それぞれ今年四月に0・2ポイント引き上げられ、二〇二一年四月までにさらに0・1ポイント引き上げられる。国などの公的機関は、民間企業の模範となるよう、民間企業より高い割合となっている。

 

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