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群馬ヘリ墜落9人死亡 「無事で」祈り届かず

社会

2018年8月12日 朝刊

=群馬県提供

 群馬県の山中に地元消防署員ら9人を乗せた県防災ヘリ「はるな」が墜落した事故は11日、乗員全員の死亡が確認される最悪の結果となった。無事を祈っていた同僚や友人らは、深い悲しみに包まれた。

◆岡朗大さん 優しく子煩悩 スキーで国体

 群馬県防災航空隊の岡朗大(あきひろ)さん(38)は、スキーがアルペン競技で国体に何度も出場するほどの腕前だった。幼い子どもがいるといい、出身地の草津町で長年交流を深めたスキー関係者や高校の先輩は「残された家族がふびん」と嘆いた。

 岡さんが小学生のころから参加していたNPO法人「草津スキー倶楽部(くらぶ)」会長、山口芳雄さん(60)によると、岡さんは父親を早くに亡くし、母親が苦労して育てたという。「強さと優しさを感じた。文句のない好青年。スキーの指導者になると期待していた。悲しみに堪えない」と悔やんだ。

 岡さんの高校の先輩で、同法人理事の小林仁さん(55)は「体力と技術が総合的に優れていた。県内のスキー界にとって大きな損失だ。いつも元気良く、明るくあいさつしてくれた。子煩悩で、一緒にスキーする姿が忘れられない」と悲痛な口調で語った。

 岡さんは同県の吾妻広域消防本部から来春までの予定で県防災航空隊へ派遣されていた。

◆田村研さん 草津白根噴火の救助で活躍

 田村研さん(47)が所属する吾妻広域消防本部は、一月に草津町の草津白根山が噴火した際、救助活動で活躍した。田村さんも当時、警防課長補佐として記者会見に臨み、山頂に取り残された約八十人のスキー客らをスノーモービルで往復して搬送する様子を説明していた。一緒に活動した草津国際スキー場のパトロール隊の中沢卓隊長(48)は、「人命救助に使命感を燃やしていたのに」と驚き、悲しんだ。

 中沢さんによると、田村さんは数年前に同スキー場から救助の勉強会の講師として招かれ、人命の大切さを熱い口調で説いた。噴火の後は、救助に当たったパトロール隊員らへ「勉強の成果が出ていた」と言葉をかけてくれた。隊は同本部から感謝状を贈られた。

 墜落事故の犠牲者九人のうち五人が同本部の所属。中沢隊長は「田村さんらのおかげで、噴火当時は速やかに救助活動ができた。救助の最前線を担う大きな存在の人たちを失った」と惜しんだ。 (菅原洋)

 

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