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鉄道各社 外国語の案内サービス多彩に

社会

2018年8月10日 夕刊

英語放送アプリがインストールされたタブレット端末を手にするJR東日本の村上喜洋さん(左)ら=東京都足立区のJR東日本綾瀬運輸区で

 訪日外国人向けの外国語による鉄道情報サービスの導入が、首都圏の鉄道各社で相次いでいる。災害や事故などのトラブルの際、運行状況が分からず、困ることのないようにするためだ。増加する訪日客を、収益源の柱として位置付けたいとの思惑もある。 (増井のぞみ)

 「ケイヒントウホクライン ウィル ビギン ムービング アゲイン ショートリー」(京浜東北線はまもなく再開します)

 JR東日本が開発したアプリの英文の一例だ。災害などの異常時に、車掌がタブレット(多機能携帯端末)を操作し、あらかじめ用意した例文を車内放送する仕組み。五月から山手線や中央線など首都圏の十一路線で使えるようにした。

 運転の見合わせや再開、遅延、混雑、急病の乗客の救護…。過去のパターンを分析し、例文を作って英訳した。運転再開までの見込み時間は、三十分間か一時間の二通りとした。こうした「条件」と「路線」を組み合わせると、例文は約四千七百種類になった。

 「日本の思い出が嫌なものになってはいけない」と説明するのは、開発に携わった綾瀬運輸区(東京都足立区)の村上喜洋(よしひろ)主任車掌(31)。六月に最大震度6弱を観測した大阪北部地震では関西一円で鉄道が止まり、初めて地震を経験したという外国人客もいた。村上さんは「状況を正確に伝え、安心してもらうことを心がけたい」と話す。

 首都圏では東武鉄道や京浜急行電鉄も四月以降、日英中韓の四カ国語での放送や口頭での案内の導入を進めている。

◆右肩上がりの訪日外国人数 ほくほく貴重な収益源

 少子高齢化でかつてのような沿線人口の増加が望めない中、鉄道各社は、外国人旅行客を右肩上がりが期待できる貴重な収益源に位置付けている。

 JR東日本は2016年度、NTTデータと共同し、訪日外国人の鉄道利用実態を把握するシステムを導入した。鉄道車内や駅、駅周辺で携帯電話の位置情報を集め、移動状況を推計する。

 それによると、首都圏の在来線と新幹線を利用した訪日外国人は16年度に2500万人、17年度は3000万人と500万人増加。また訪日外国人に伴う収入は16年度に205億円、17年度は235億円と30億円増えた。

 JR東の17年度の鉄道収入全体のうち、外国人分の占める割合は1.3%にすぎなかったが、同社の17年度の増収分の中でみると外国人分の30億円は14.7%に当たり、大きな割合を占めたという。

 

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