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原爆の日 長崎を最後の被爆地に

社会

2018年8月10日 朝刊

手をつなぎ長崎市の原爆落下中心地碑を囲む高校生平和大使の生徒ら=9日早朝

 太平洋戦争末期の被爆から七十三年、長崎は九日、平成最後の「原爆の日」を迎えた。長崎市の田上(たうえ)富久市長が祈念式典で発信した平和宣言は、核兵器禁止条約に否定的な政府に「賛同」を促し、唯一の戦争被爆国として一歩を踏み出すように求めた。

 昨年は条約不参加を「とうてい理解できない」と直言したが、北朝鮮の非核化や核軍縮が具体化しない中、政府は拒否の姿勢を堅持。いら立ちは募るが「批判のための批判であってはならない」(田上氏)として、対峙(たいじ)ではなく核廃絶への具体的工程を共に模索するスタンスを取った。

 宣言では、反核運動のシンボルとして活躍し昨年八月に八十八歳で亡くなった長崎被爆者の谷口稜曄(すみてる)さんらが、戦争や被爆の体験がない人たちが道を間違えてしまうことを強く心配していた、と紹介した。その上で市民一人一人に平和な世界の実現に向けた行動を呼び掛けた。

 安倍晋三首相は式典あいさつで、核兵器のない世界の実現に向け「国際社会の取り組みを主導していく決意だ」と表明。その後の記者会見では、核禁止条約は「安全保障の現実を踏まえていない」と批判、不参加の考えを改めて示した。

 式典は三会場で行われ、平和公園の約五千二百人を含め、約六千人が参加した。現職として初出席した国連のグテレス事務総長は、核保有五カ国の代表も見守る中、長崎を最後の被爆地とするよう訴えた。

 

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