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翁長知事死去「沖縄のために命削った」 11日の県民大会、出席かなわず

社会

2018年8月9日 朝刊

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する集会で、カードを掲げる沖縄県の翁長雄志知事=2015年5月、那覇市で

 膵(すい)がんで闘病中の翁長雄志(おながたけし)・沖縄県知事が死去した八日、県内外に衝撃が広がった。先月下旬には、名護市辺野古(へのこ)で進む米軍新基地計画をめぐり、前知事による埋め立て承認の撤回を表明したばかり。翁長氏とともに新基地建設に反対してきた市民からは回復を祈る声が相次いでいたが、届かなかった。基地の島は深い悲しみに包まれた。 (宮崎美紀子、井上靖史)

 山城博治・沖縄平和運動センター議長(65)は本紙の電話取材に、「そんなに悪いとは思わなかった」と絶句した。「あまりにも急すぎる。私も末期がんだったが回復したので、翁長さんもと祈っていた。翁長さん、なんでそんなに急ぐの?」と声を落とした。

 辺野古新基地をめぐって政府は今月十七日の土砂投入を通告。山城さんらは六日から反対運動を強化し、この日も建設地に近い米軍キャンプ・シュワブのゲート前で二百人以上で座り込みの抗議活動をしていた。

 山城さんは「翁長さんは県民の支えだった。気丈で揺るがなかったその信念を改めて感じている。時には手厳しいことを言って申し訳なかった。翁長さんの思いに現場での反対運動でこたえていきたい」と思いを新たにした。

 十一日には翁長氏を支援する「オール沖縄会議」が、那覇市内で三万人以上が参加する県民大会を開き、土砂投入阻止を訴える予定がある。謝花(じゃはな)喜一郎副知事によると、翁長氏は自ら出席し、考えを説明することを望んでいた。

 「県民大会を成功させることが翁長氏の健康回復につながる」と語っていた、ヘリ基地反対協議会・安次富(あしとみ)浩共同代表(72)も、死去の報に「言葉が出ようもないじゃないですか」。悔しさをにじませ、長い長いため息をついたのち、「ぼくらとしては、辺野古に基地をつくらせないという翁長知事の強い政治信念をこれからも引き継いで、沖縄で戦っていく。それしかない」と語った。

 市民団体「沖縄の基地を引き取る会・首都圏ネットワーク」共同代表の田村真弓さん(55)=東京都世田谷区=は「沖縄を守るためにすごく命を削っていた。政権や、本土の国民が翁長さんの邪魔はしても協力することはなかった」と振り返り、涙が止まらなかった。

 団体では全国の知事に対し、沖縄の基地負担をどうするか独自にアンケートを取っており、現在まとめている最中。沖縄の負担軽減に向けて日米地位協定の改定に意欲を示す他知事も目立つといい、「翁長さんに結果を渡したかった」と話した。

 

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