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不登校の生徒らが学ぶカフェ 心の傷癒やし「卒業」

社会

2017年3月25日 夕刊

平野さんから卒業証書を受け取る中学3年の男子生徒=埼玉県桶川市のヒビキ・カフェで

 埼玉県桶川市の小さなカフェは「学びや」というもうひとつの顔を持つ。JR桶川駅近くにある「ヒビキ・カフェ」に集まるのは不登校や勉強の遅れがちな子どもたち。木のぬくもりを生かした居心地のよい空間で平日の夕方と土曜の午後に教員経験者らがボランティアで勉強を教えている。今年も7人の生徒が卒業式に臨んだ。 (牧野新)

 「おめでとう」。今月二十二日、カフェを運営する一般社団法人代表の平野和弘さん(57)が中学生、高校生の計七人に卒業証書を手渡すと、カフェは拍手で包まれた。

 ヒビキ・カフェでは現在、中高生十数人が学ぶ。「不登校や引きこもりなどに苦しむ子どもの居場所を作りたい」と、定時制高校元教員の平野さんと、不登校を経験した教え子五人が二〇一四年に立ち上げた。

 翌一五年には生徒の要望で、教員経験者らが無料で勉強を教える「宿題カフェ」を開始。一般客の横で子どもたちが勉強に取り組む風景も定着し、常連客と子どもの交流も生まれた。「友達付き合いも身につけてほしい」という平野さんの思いで、行事も行っている。卒業式もその一つ。生徒は卒業後もカフェに通うが、節目として設けている。

 卒業生の一人、桶川市の男子中学生(15)は勉強の遅れを同級生にばかにされて学校に行けなくなった。自分のペースで学べる環境に安心し、週二〜三回通う。卒業式では「仲間に祝われてうれしかった。今後も先生と頑張りたい」と笑顔を見せた。

 同県上尾市の男子高校生(16)は不登校になった中学二年生から通う。三年生時は受験勉強のためほぼ毎日カフェの机に向かった。現在は県立高に進学。「ここがなければ今の僕はない。学びやであり、第二の家なんです」と語る。

 平野さんは「心に傷を抱える生徒が自分のあり方を考え、将来のために学べる場所であり続けたい」と話している。

 宿題カフェの運営は基本的にスタッフや教師らの善意で成り立っているが、カフェの客もコーヒー一杯(四百円)に二杯分の金額を払い、余った分を子どもの飲食代にする「保留珈琲(コーヒー)制度」で活動を支えている。

 営業は午前十時〜午後八時、水曜定休。「宿題カフェ」は水曜を除く平日午後六〜八時と土曜午後二〜四時。問い合わせはヒビキ・カフェ=電048(775)7667=へ。

 

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