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障害者アートの魅力描く 「地蔵とリビドー」10日から渋谷で上映

首都圏

2018年10月31日

創作に当たる通所者(笠谷監督提供)

 障害者アートの魅力を描いたドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」(笠谷圭見監督、62分)が11月10日から東京都渋谷区渋谷2、シアター・イメージフォーラムで上映される。独創的な絵画やオブジェを生みだし、世界的に注目を集めている障害者施設「やまなみ工房」(滋賀県甲賀市)が映画の舞台。自らの切実な表現欲求(リビドー)に任せて創作する“アーティスト”たちの姿がいきいきと描かれている。 (土田修)

 寝転んだまま割り箸と墨汁だけで大胆に人物画を描く男性、「目、目、鼻、口…」と呪文のように唱えながら土の塊に無数の穴を開け続ける男性、縦向きにのみ刺しゅうを縫い続ける女性。中には一日十五分間だけ粘土で地蔵を作る男性もいる。映画は、自由奔放に紙や粘土を通じて世界と交感する“日常生活”を、美術関係者のインタビューをまじえながら、ありのままに描いている。

 一九八六年に共同作業所として開所した同工房では、通所者八十八人が絵画や粘土、刺しゅう、散歩、古紙回収など六グループに分かれて活動している。創作活動はあくまで古紙回収など一般作業の延長にすぎないという。

笠谷監督(左)と山下施設長=都内で

 やまなみ工房の山下完和施設長は「休憩時間に床に落ちていた紙を拾って殴り書きを始めた人が、それまで見せたことのないうれしそうな表情を見せた。生まれて初めて自分の表現方法を見つけた瞬間でした」と創作活動のきっかけを説明する。

 笠谷監督は「最初は通所者の創作活動を撮影するつもりでしたが、何げない生活の中から作品が生み出されていることに気づいた。それから工房の日常生活全体に興味が移り、映画の中に取り込んだ」と話す。

 作品は、スイスの「アールブリュットコレクション」やフランスの「ABCDコレクション」に所蔵されるなど、世界の美術界で注目される。映画は十一月に米国・フィラデルフィアでも上映される。

 

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