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<法律お助け隊 君和田伸仁弁護士> 事業場外みなし制で残業代が出ない

悩みの小部屋

2018年3月31日

<お悩み> イベント会社で、営業職として働いています。朝は会社に出勤し、午後から営業に出て、夜遅くまで働きます。営業先はあらかじめ決められており、直帰がほとんどです。どの営業先で何時から何時まで働いたかは日報を付け、翌朝提出します。ただ会社は事業場外みなし制が適用されるとして、残業代を一切支払っていません。やむを得ないのでしょうか。 (東京・会社員 30代)

◆労基署に相談も一考

<お答え> 事業場外みなし労働時間制は、労働の全部または一部を事業場外でした場合(社外勤務)に、所定労働時間を労働したとみなす制度です(労働基準法三八条の二)。所定時間が八時間であれば、実際に九時間働いても、七時間しか働かなくても、八時間働いたとみなされます。

 この制度は、使用者が労働時間を把握することが困難な場合に対応するために設けられたものです。ただし、この制度が適用できるのは「労働時間を算定し難い」場合に限られます。

 判例では、この要件は厳格に解釈されています。例えば旅行社が行う海外ツアーの添乗員について、旅程や旅行先での業務内容があらかじめ決められ、ツアー終了後には業務遂行状況の詳細かつ正確な報告が求められていることなどを理由に、労働時間が算定し難い場合にはあたらないとしたものがあります。

 あなたの場合、直帰が多いものの、営業先での労働時間を日々報告することになっているようです。なので「労働時間が算定し難い」場合にはあたらない可能性が強そうです。そうすると、事業場外みなし制の適用を理由として残業代を支払わないことは違法であり、実労働時間に応じた残業代の請求が可能となります。

 なお、労基法は、事業場外みなし制が適用されても、ある業務を遂行するのに所定労働時間を超えて労働する必要がある場合には、その業務を遂行するのに必要な時間働いたものとみなすと定めています。指定された営業先の数などから、通常十時間かかるのであれば、十時間働いたとみなすものです。

 一度会社と話し合ってみてください。それでも解決できない場合には、労働基準監督署に相談することをお勧めします。

 

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