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<法律お助け隊 坂本雅弥弁護士> 建て替えで契約終了 立ち退きは不可避? 

悩みの小部屋

2016年12月24日

 約十九年間借りている家の大家さんから、来年七月に契約期間が終了したら、出ていってほしいと言われました。今まで、契約が満了する二年ごとに契約を更新してきましたが、建物の老朽化のため建て替えが必要という話でした。私は病弱で、近所にかかりつけ医がいますので、引っ越したくありません。家は築約四十年ですが、それほど傷んでいません。更新は難しく、出ていかなければならないのでしょうか。 (東京都・無職 72歳)

◆正当性の判断 借り主事情も重視

 今まで当然のように更新されてきた契約なのに、家主から更新を拒絶され、今後の不安が大きいですね。

 更新拒絶により、それまでの生活が一変するなど、借り主の不利益が大きいため、家主の更新拒絶が認められるのは正当な理由がある場合に限られます。借地借家法第二八条では(1)家主と借り主の、建物の使用が必要な事情(2)建物賃貸借に関するそれまでの経過(3)建物の利用状況(4)建物の現況(5)建物の明け渡しと引き換えに家主が借り主に提供する、立ち退き料などの給付−を考慮して、正当かどうかを判断します。

 建物が倒壊するほど老朽化している場合には、更新拒絶が認められるかもしれません。しかし、そこまでではない場合、必ずしも更新拒絶が認められるとは限りません。過去の判例では、老朽化しているものの、建物として使用できなくなるまでなお五年を要するとして、更新拒絶の正当性を否定した判決(東京地方裁判所、昭和五十五年六月三十日)もあります。

 正当性の判断にあたっては、借り主側の事情も重視されます。あなたのように高齢で病弱であり、近所にかかりつけ医がいるため転居が困難であることは考慮されます。また、立ち退き料の提案などがあれば正当と認められることがありますが、家主が立ち退き料を支払えば直ちに認められるわけではありません。

 立ち退き料の金額については、明確な基準がありません。移転費用や転居先の家賃が増額した場合には、ある程度の期間分の賃料差額分などを考慮して、算定することもあります。

 更新の交渉が行き詰まったら、調停などにより解決を目指す方法もあります。対応に悩んだ場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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