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急な運動、中高年は要注意 「速筋」衰え思わぬけが

暮らし

2018年9月12日

 まもなく運動会シーズン。この時期、しばしば耳にするのが「子どもの学校の運動会で張り切って、けがをしてしまった」という話だ。男女を問わず中高年になったら、「ほどほどに頑張る」心構えが重要だが、体の衰えを自覚しつつ、どんな準備をしたらよいだろうか。 (添田隆典)

 「スピードやジャンプ力など、落ちてきていると感じてはいたんですが…」。三重県桑名市の会社員女性(39)は八月、大学時代の仲間と参加したバスケットボールの試合でドリブル中に、左足の感覚がなくなった。アキレス腱(けん)断裂。全治三カ月の大けがだった。

 バスケは小学生のころに始め、大学時代は週一回、サークルに参加していた。卒業後は数カ月に一度程度になり、今回は三カ月ぶり。だが、「まだまだいける」感触だった。

 バスケをする機会は減ったが、年明けからヨガやジョギングを三十分するのを日課にしてきた。「体の維持には気を使ってきたんですけど」と、固定具をつけた脚に視線を落とした。

 「ジョギングで鍛えられる筋肉と、バスケで必要な筋肉はまったく別」。名古屋スポーツクリニック(名古屋市昭和区)院長の杉本勝正さん(61)は、女性のけがについてこう説明する。

 筋肉は大きく分けると「速筋」と「遅筋」の二つ。ダッシュやジャンプなど瞬発力を発揮するのが速筋、ウオーキングやジョギングなどで持久力をつかさどるのが遅筋だ。バスケで必要な筋肉は主に速筋。女性が日課としているトレーニングは、あまり結びついていなかったというわけだ。

 しかも、速筋は二十代をピークに下半身から衰えていく。「運動会で全力疾走したら足がもつれた」「コーナーを曲がりきれず転倒した」という話を中高年からよく聞くのも、ダッシュに必要な速筋が下半身から衰えていくためだ。

 では、子どもの学校の運動会でかけっこに出場する中高年は、どう備えたらよいだろうか。やはり、重要なのは準備運動だ。アキレス腱やももの裏のハムストリング、ももの前部の大腿(だいたい)四頭筋など、下半身を中心にしっかりストレッチしたい=CG。特に、アキレス腱は入念に伸ばすことが、けが予防には欠かせない。まだ本番までだいぶ日数があるという人は、日常生活で階段を一段飛ばして上る習慣を付けると、けがのリスクを減らせるという。

 とはいえ、中高年になっても「自分はまだまだ大丈夫」と思ってしまうのが人の常。張り切ってしまう気持ちを抑えるには、どうしたらよいだろうか。

 有効なのが、下半身の筋力の定期的な測定だ。椅子に座って立ち上がるのを十回繰り返し、かかった時間を計る。杉本さんは「体の衰えを自覚できれば、運動習慣を見直すきっかけにもなるし、激しい運動をするときにも自制が効くはず」と勧めている。

<下半身の筋力の測定>

 (1)背筋を伸ばして椅子に座る

 (2)両腕は胸の前で組む

 (3)膝が伸びるまで立ち上がる

 (4)すばやく(1)に戻る

 (1)〜(4)10回で男女とも20〜30代は10秒、40代は11秒、50代は13秒、60代男性は14秒、同女性は17秒以上かかると、筋力不足の可能性がある。(厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」から)

 

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