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<清水孝幸の続50代の地域デビュー> (30)読者との触れ合い 初対面で「やせた?」

暮らし

2018年9月1日

イラスト・佐藤まさーき

 新聞記者の私(56)が、住んでいる地域に溶け込もうと奮闘してきた連載も最終回。振り返ると、記事を通じて、これほど読者と触れ合えたことは他にはなかった。

 最近、静岡県伊東市在住の女性(72)から「今年初めに『50代の地域デビュー』を拝見して、切り抜きを持ち歩いています」と手紙をいただいた。女性は南欧暮らしが長く、三年前に帰国。南欧ではダンスを楽しんでいたという。ラテンダンスのサークル「大江戸サルサ」の新年会に私が参加した回(一月六日)を読み、サークルに入りたくなり、手紙を書いたそうだ。

 メールで築地社会教育会館(東京都中央区)でのレッスンを案内した。初対面の女性はふわっとした服にサンダル履き。日焼けした顔が印象的だった。初めてのレッスンは大変のはずだが、終了後の「アフター」にも参加。レッスン後の近くのファミレスでの打ち上げだ。約十人の年配の男女がサルサや仲間の話で盛り上がり、初参加の彼女が話の輪に入れたか心配だった。翌日、メールで感想を聞くと「日本にもラテン系日本人がいたのだと大発見です」。その後、「リタ」というサルサネームで、毎週のように上京して参加している。

 こんな出来事もあった。

 東京・谷中で大江戸サルサ主催のウナギを食べる会が開かれたときのこと。お店に行くと、代表の玲耶(レイヤ)さんが笑顔で「こーひんさん(私のサルサネーム)に会うために来た人がいますよ」と、ベリーショートの髪形の若い女性を紹介してくれた。ハチロクさん(ネット上での名前)だ。聞くと、SNSと地域デビューをテーマにした回(六月二日)を読み、中高年向けのSNS「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」を通して大江戸サルサに入会。私を見ての第一声は「もっと怖い感じかと思いました」。堅い記者のイメージと違い、コミカルなイラストと本当に似ていて驚いたようだ。

 私の両脇にハチロクさんとリタさんが座った。連載の愛読者と食事するなんて、こんなに幸せなことはない。ハチロクさんは本紙の大ファン。この記事が好き、あの記事がおもしろいと熱心に話した。私の覚えていない記事の話では冷や汗が流れたが、読者から直接、話を聞くのは刺激的で、貴重だ。

 連載中、私の入っている将棋サークル「棋水会」にも読者二人が入会。よく利用する公民館では、知らない人から「記事、読んでいます。今日は何をするんですか」と声を掛けられ、初対面なのに「(イラストと比べて)やせましたね」と言われた。身近な読者を実感した。

 定年まであと三年半。これからも地域デビューは続けていく。イラストそっくりの私を見かけたら、気軽に声を掛けてください。いつかまた、続編を書きたいと思います。 =おわり

 

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