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介護申請など子に頼って 施設、控除の手続き相談を

暮らし

2018年8月29日

 「子どもには、なるべく介護を頼りたくない」。こんな思いを持っているシニアは多いようだ。しかし、子が親のためにできるのは、食事や入浴の手伝いといった介護だけではない。介護保険サービスの申請や、要介護者向けの控除の手続きなど、親には難解でも、インターネットなどに慣れた子世代にはそれほどの負担ではないことも。困ったときは子どもに話してみると、あっさり解決することもある。 (出口有紀)

 「領収書や郵便物は全部、たんすの引き出しに入れておいて。私が来た時に確認するから」。名古屋市のパート店員の女性(55)は、八十代の母に言った。母親は近隣の市で八十代の父親と二人暮らし。今年亡くなった父親が四年前に脳梗塞で倒れてから認知症の症状が出始め、しばらく定期的に介護に通っていた時期のことだ。

 女性が気になったのはお金のこと。父親は一カ月半の入院生活の後、週二回、デイサービス施設へ通うようになった。「介護保険を使っても、無料でサービスを受けられるわけではない。出費が増え、今後の親の生活が成立するか心配になった」と振り返る。

 出費を抑える方法がないか、女性は医療や介護が必要な高齢者向けの助成や措置について調べてみた。母親も担当のケアマネジャーから、障害者控除の説明文書をもらっていた。しかし、内容は難しく、書類をもらっただけで説明を受けていない母親は、理解できていない。

 女性は市の担当課に電話し、障害者控除を受ける手続きを進めた。さらに、医療費控除の対象となる介護費用もあると知り、領収書を集めるなど確定申告を手伝った。

 名古屋市で講座を受け、認知症になると精神障害者として保健福祉手帳を申請できる場合もあることを知った。手帳を取得すると、所得税や住民税の控除などが受けられるが、住んでいる市町村独自のサービスもある。「実家がある市に確認したら、医療費が無料になり、半年ごとに福祉手当が入ってきて助かった」

 当初は面倒がっていた母親も、月に一度、通帳記入をしてもらうようにすると「助成などの入金があると報告してくれ、次第に私の言うことを受け入れてくれるようになった」という。

 父親が落ち着いてからは女性が実家に行くのは月一、二回。身体的な介護はできなくても「インターネットで調べたり、自治体に問い合わせしたりはできる。初めは親が困っていることがあるのか分からないときは『介護の費用がかかるけど、大丈夫?』などと声を掛けてみては」と話す。

◆親世代、遠慮する傾向

 昨年10月、高齢者施設を運営するオリックス・リビング(東京都港区)は、全国の40代以上の1238人を対象に、介護に関する意識調査を実施した。複数回答で「家族の介護について誰に相談するか」と聞いたところ、55%が「配偶者」、33%が「兄弟姉妹」とした。一方「子ども」と答えたのは14%で、「役所などの公共機関」(26%)、「病院」(18%)を下回った。

 自分自身が介護を必要としていたり、備えを始めていたりする60代以上に限ると、「子ども」としたのは男性が19%、女性が29%。男性の方が子どもに頼ろうとしない傾向があることもうかがえた。

 同社の担当者は「会社でも第一線で頑張ってきた男性には、子に頼りたくないという思いが強いのでは」と推測。さらに「子どもが遠方にいる場合、気付いたときには親が老老介護だったという場合もある。親からは子どもに相談しにくいということもあるので、子どもから声掛けすることも必要では」と話す。

 

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