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<城ヶ島だより>(6)増える若者観光客 日はまた昇る

神奈川

2018年8月23日

かもめ児童合唱団(左)の歌に聞き入る三浦コクーンの参加者たち=三浦市で

 原っぱに寝転び、本を読んだり、仲間と談笑したり。城ケ島公園の海が見える広場で、Tシャツ姿の若い男女がくつろいでいた。

 城ケ島を終点に、レンタサイクルで三浦市内を周遊する京急のイベント「三浦コクーン」。先月下旬の初回は八十人の定員を上回る申し込みがあり、参加者の大半は二、三十代だった。

 バブル崩壊後、観光客が減った島に近年、若者の姿が目立つようになってきた。「手付かずの自然が見直されたのでは」。島で民宿を経営する青木良勝さん(55)は語る。

 三浦半島と島を結ぶ大橋開通後の一九七〇年代、休日になると観光バスが押し寄せた。観光客の財布のひもは緩く「親から『落ちている石まで売れた』と聞いた」と振り返る。

 目新しさが薄れたこともあり、往時のにぎわいが失われた島。シャッターが閉まりっぱなしの店が増える一方、電車とバスの往復料金と食事代を含む京急の「みさきまぐろきっぷ」は、二〇〇九年の発売から好調で、昨年度は二十万枚を突破した。三浦半島で同社が手掛ける企画切符の中で、葉山と横須賀を抑えて断トツの人気を誇る。

 若い宿泊客が「また、磯辺でビールでも飲みながら海を眺めに来たい」と漏らした一言に、青木さんは手応えを感じる。「のんびりと過ごせる魅力を打ち出せれば、伸びしろはある」

 イベントの終盤、市内の子どもたちを中心につくる「かもめ児童合唱団」が「夕日は昇る」と題した曲を披露した。誰もが沈むと思っていたものが昇り始めるかもしれない−。プロデューサーの藤沢宏光さんは、そんな願いを込めた。

 「今度、君にいつ会える」。海に沈む夕日をバックに繰り返されるサビのフレーズが、島をしっとりと包み込んでいた。

<京急と三浦半島> 三浦市などを走る京急久里浜線は、終点の三崎口からさらに南へ線路を延ばす計画があった。人口減少で採算が合わないといった理由で2016年に凍結され、三崎港や城ケ島とはバスなどで行き来する状態が続く。

 

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