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最初で最後「川崎ワイン」 麻生の山田さんが市内産ブドウで醸造

神奈川

2018年8月2日

ワイン完成を福田市長に報告する山田さん(左)=市役所で

 川崎市麻生区岡上で農業生産法人を経営する山田貢さん(36)が、市内産のワイン用ブドウだけで醸造した初めてのワイン「蔵邸ワイン・岡上ロゼ」を完成させた。酒税法改正により十月からは、ワインに地名を入れる条件が厳しくなるため「川崎ワイン」を名乗れる最初で最後のワインになりそうだ。山田さんは「川崎でもワイン用ブドウができることを知ってもらい、農業への関心を高めたい」と話している。 (大平樹)

 山田さんによると、ワイン用ブドウの栽培を始めたのは二〇一三年。岡上地区は急傾斜地が多く、雨で土が流されることから野菜の栽培には適さないが、水はけの良さが必要なワイン用ブドウには向いていると踏んだ。約三千平方メートルの畑にピノ・ノワールやシャルドネなどの品種の苗木を植え、強く育てるため一六年までは実を収穫せず、一七年に初めて五十キロを収穫。ハーフボトル(三百六十ミリリットル)約八十本ができた。

 造ったのは、すっきりとした飲み口のロゼワイン。残暑が厳しい都市部の気候を考慮して、少し早めの八月に収穫することで、果実の酸を強くしたという。山田さんは「華やかな香りが特徴で、どんな食事にも合う」と胸を張る。七月二十四日に市役所で試飲した福田紀彦市長は「和食にも合いそうだ」と話してグラスをあおった。

 ラベルのデザインは、同地区近くの和光大(東京都町田市)の学生たちが担当。瓶詰めされたロゼワインの色に合わせたえんじ色を主に使い、山田さんの法人がワインスクールに使っている蔵のイラストをあしらった。原案を採用された経済経営学部三年の安井萌々香(ももこ)さん(21)は「他のワインラベルも参考にしながら、張る位置や紙の質にもこだわった」と語る。

 酒税法改正により十月からは、ブドウの原産地と醸造所が同じでなければ、地名を入れられないようになる。東京都内の醸造所で造る山田さんのワインに「川崎」や「岡上」の名を入れられるのは、これが最初にして最後。今夏の収穫も近いが、猛暑や苗木の病気の影響もあって、出来上がりがどうなるかは見通せない。「暑さだけでなく、消毒が必要になるなど都市型農業特有の難しさはあるが、農業体験や観光で訪れてもらうきっかけになってほしい」と今後のワインづくりの意欲を語った。

 完成したワインは八月十九日から岡上地区で、一本二千百円で販売する予定。山田さんの農業生産法人「カルナエスト」のホームページを通じて問い合わせを受けるという。

 

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