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子どもに贈る、好みの本 川崎・中原の小松さん 来月第1弾

神奈川

2018年5月27日

コーティング作業を見ながら「たくさん本を読んでほしい」と話す小松さん(右)=川崎市幸区で

 子どもたちに読書の習慣を広めようと活動する一般社団法人「ビブリオポルトス」の小松雄也代表理事(27)=川崎市中原区=が、子ども一人一人の興味に沿った本を選んで贈るプロジェクトを始めた。まずは自身が見学し、アンケートをして興味などをつかんだ市内の児童養護施設の子どもたちに一人二冊ずつ、計百十冊を贈る。 (小形佳奈)

 小松さんは高校卒業後、カナダに語学留学したものの、自国のことを十分に説明できず、知識の乏しさを痛感。明治大法学部に入学するまでの三年間、二日に一冊のペースで本を読んだ。大学在学中、ラテン語で「本の港」という意味のビブリオポルトスを設立。各発表者がお薦めの本を紹介し、参加者が投票で最も読みたい本を選ぶ書評合戦「ビブリオバトル」の市内開催に力を尽くしたこともある。

 出版取次会社に就職し、担当する長野県内の中学校で、アンケートを基に生徒一人一人にお薦めの一冊を選んだところ、生徒の読書量が増え、手応えを感じた。「会社の枠を超えて展開したい」と昨年五月に退職した。

 川崎市内でプロジェクトを始めるにあたり、学童保育やこども文化センターへの寄贈も検討したが、見学した児童養護施設で職員から「子どもたちは図書室にいる時間が長い」と聞き、「まずは最も読んでくれそうで必要とされているところに贈ろう」と決めた。この施設の三歳から十八歳までの五十五人に興味のあることや将来の夢を問うアンケートをして選書の参考にした。

 例えば「俳優になりたい」という中学生には、高校の演劇部を舞台にした小説を選んだ。来月、寄贈を受ける施設の施設長は「図書券での寄贈が多く、子どもの興味に合った本を選んでくれるというのは初めて。非常にユニークな取り組み」と評価する。

 小松さんは、本の購入費十万円を今年三月に一カ月間行ったクラウドファンディングでまかなった。本の取り寄せと表紙のフィルムコーティングは、市内に本社のある北野書店(幸区)に依頼。同社では、図書館などに納品する本のコーティング作業を市の障害者地域就労援助センターから紹介された障害者が担っている。北野嘉信社長(40)は「地域の力が子どもたちに役立つ。今後も協力したい」と話す。

 小松さんは「地元で手の届く範囲から人のつながりを広げたい」と、次は他の児童養護施設や保育園などに本を贈るための資金を街頭募金でも集めるつもりだ。「学年を追うごとに子どもたちは本を読まなくなるという統計があるが、川崎から不読率をゼロにしたい」と張り切る。

 

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