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常総水害から3年 堤防決壊現場で慰霊

茨城

2018年9月11日

堤防決壊現場で献花と黙とうをする神達市長(左)ら=常総市で

 鬼怒川氾濫から三年を迎えた十日、常総市の堤防決壊現場で関係者が犠牲者を慰霊し、防災体制の強化を誓った。国土交通省は、鬼怒川沿いの四十四キロで堤防のかさ上げなどを進め、14%が完成したという。全国で豪雨被害が続く中、住民が避難の手順を事前に決めておく取り組みが注目されている。(宮本隆康)

 常総市三坂町上三坂地区の決壊現場では正午すぎ、神達岳志市長や、国土交通省下館河川事務所の青山貞雄所長らが献花と黙とうをした。市内では氾濫により、関連死を含め計十四人が犠牲になっている。

 神達市長は「ハード面の堤防整備だけで安心できないことは、この三年間に起こった豪雨災害を見れば明らか。ソフト面の自主防災の取り組みや、行政と市民の情報連携などを一層進めたい」と話した。

 九日には、近隣市長らが防災について意見交換するシンポジウムも開かれ、鬼怒川流域などの六市町の首長らが出席。救助活動の拠点の一つだった守谷市の松丸修久市長や、避難者を受け入れたつくばみらい市の小田川浩市長は、当時の様子を紹介した。災害時の避難などについて討論し、自治体間の連携が重要との考えで一致した。

 国交省によると、鬼怒川四十四キロの堤防のかさ上げや拡幅のため今年六月末時点で、民有地約百二十万平方メートルの83%を取得。堤防は33%で着工し、14%が完成した。水が流れる部分を広げる川底の掘削工事も約六割が完成。二〇二〇年度末の完成目標に向け、おおむね順調だという。

 国交省は「水害時と同様の雨量でも安全になる」と説明。ただ、複数の国交省OBや学識者は「川があふれても決壊させないためには、住宅地側ののり面を補強するべきだ」と指摘している。

◆全国初、住民が避難手順 「マイタイムライン」広がる

 鬼怒川の氾濫で数千人が逃げ遅れたことを教訓に、国土交通省下館河川事務所は、住民一人一人が時系列の避難の手順を決めておく「マイタイムライン」の作成を呼び掛けている。

 河川事務所によると、タイムラインは、自治体が事前の防災行動計画としてまとめるのが一般的。住民個人のタイムライン作りは、常総市の根新田地区と若宮戸地区が全国初という。

 鬼怒川流域の茨城、栃木両県の計二十四市町で、これまでに計約七千七百人が個人のタイムラインを作った。県内では、常総市や龍ケ崎市、つくばみらい市、取手市、守谷市など十自治体で作成された。

 最初につくった根新田地区の自治会役員は、長野県に招かれて講演を依頼された。土砂災害で被災した広島県からも問い合わせがあるなど、県外から関心を持たれているという。

 

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