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<志尾睦子のそふとフォーカス> (30)秋の入り口に段取り学ぶ

群馬

2018年9月9日

初めて降り立った小布施駅。秋空と小布施の空気感が和やかで美しく、思わずシャッターを切る=長野県小布施町で

 まだまだ残暑が厳しいという話もあるけれど、季節は巡り、すっかり秋だ。九月を境に、私の気持ちはきちんと秋モードになった。

 青系統の洋服にはもう手が伸びない。九月になった途端に、基本はモノトーンに切り替わる。色味を入れるとすれば赤や黄色が気持ち的にしっくりくるのだから面白い。

 それに合わせて、靴もかばんも一足先に衣替えで、白いものやビニールものは来年の出番まで戸棚の中にきれいにしまう。

 ガラスの食器は戸棚の下の段に片付けて、今年新調した風鈴も軒先から外した。冬支度にはまだ早いけれど、夏じまいはしっかりするのがいいようだ。時季を捉えている感じはなんだか少し気分がいい。

本祭に近づく楽しさが伝わるチラシ

 時季を捉えるというのは段取りをいかにするかにも近い。その時期にすべきことをきちんとしておくと、しかるべき時期に目的とする出来事をなし得ることができる。先日、来年の三月に新しく誕生する小布施短編映画祭のプレイベントに参加して、改めてそんなことを思った。

 長野県小布施町といえば、葛飾北斎が晩年足しげく訪れ作品を残した地。作家活動を支えた人たちがいたからこそ、優れた作品が生まれ、後世に伝えられてきたというこの土地の歴史的背景を、さまざまな形で現代に引き継いでいこうとまちづくりが行われている。

 その新たな試みが小布施短編映画祭というわけだ。世界各国から短編を募集して審査を行う方式で、一般審査員五十人で賞の選出をするそうだ。プレイベントはこの「みんなが審査員」制度をどうやって進めていけばいいのか、映画をどう見たらいいのか、評価するということはどういうことなのか、を探っていくものだった。

 半年先の映画祭実施のために、今できることを見つけていく。その行程を、内々の会議でするのではなく、開かれたイベントとして開催するというのがまた面白い。

 夏の終わりに皆で知恵を出し合い、春にはそれが集結し実を結ぶ。季節を捉えてこその段取り術に、また一つ勉強させてもらった秋の入り口。

 (シネマテークたかさき総支配人)

 

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