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<新かぶき彩時記>「俊寛」の二人の役人 対照的なキャラに注目

伝統芸能

2018年8月17日

 平清盛へのクーデターが発覚し、島流しにされたセレブたちの運命を描いた「俊寛」。中心人物で元僧侶の俊寛は、仲間・成経の妻となった島の娘・千鳥を自分のかわりに赦免船に乗せ、自分は独り島に残るという内容です。

 赦免船でやって来る二人の役人・瀬尾と丹左衛門にも注目。赤い顔をした憎々しい瀬尾(赤っ面という敵役)と、白塗りでスッキリした丹左衛門の対比が印象的です。歌舞伎では赤っ面と白塗りの善人役をセットで登場させて、芝居にメリハリをつける手法がよく見られます。ちなみにこの瀬尾は、平家方の定番赤っ面キャラで、実在した武将の名が基です。

 赦免状には、清盛に人一倍憎まれた俊寛の名だけがありません。嘆き悲しむ俊寛を冷たくあしらう瀬尾ですが、丹左衛門は別ルートで俊寛の分も手に入れていると、情けある言葉をかけます。しかし瀬尾は、都に残した俊寛の妻は清盛に殺されたと告げた上、千鳥の乗船も拒んで「慈悲も情けも、みどもは知らぬ」とうそぶきます。

 絶望して瀬尾に斬りつける俊寛。吉右衛門の型では、俊寛は衰弱しているため、瀬尾の重い大刀ではなく小刀のほうを奪って斬り、手負いの瀬尾と互いにふらつきながら戦います。瀬尾に助けを求められた丹左衛門が、前述の瀬尾の台詞(せりふ)をそっくり返すのも見どころです。(イラストレーター・辻和子)

 

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