XMenu

<評>日本舞踊未来座「カルメン」 進化遂げ華やかに

伝統芸能

2018年7月6日

 日本舞踊協会主催の第二回日本舞踊未来座=裁SAI=公演「カルメン2018」(六月二十二〜二十四日・東京・国立小劇場)は、ソル組とルナ組とに分かれそれぞれ四回ずつ、計八回上演された。

 ソル組では市川ぼたん、ルナ組では水木佑歌がカルメンをつとめ、ホセ役は、ソル組は中村橋之助が、ルナ組は花柳寿楽が演じた。双方の組それぞれに異なった出演者や演出にも工夫があり、日本舞踊作品独自の「カルメン」の世界が展開された。

 フランスの作品でスペインを舞台にしたオペラの名作を題材に、時は日本の慶長年間、乱世から新しい時代に移行する転換期。オペラ作品の役名をそのまま採用しながらも、独創性ある配役や構成だった。また、音楽や衣裳(いしょう)なども含め、西洋の物語である「カルメン」を和洋入り交じった異質な世界観で描き出した演出には、まるで歌舞伎の創成期を連想させる「傾(かぶ)く」精神がよみがえってきたかのような華やかさも感じた。

 とりわけソル組では、ぼたんのカルメンの存在感が際立ち、さらに、橋之助のホセとの愛を主題とした共演でも息の合った演技を披露した。加えて、解放感に満ち、熱狂する民衆の群舞にも迫力があった。

 一九八七年の初演以来三度目となる日本舞踊版「カルメン」もさらに進化を遂げたと言えるだろう。 (小林直弥=日大芸術学部教授)

 

この記事を印刷する