<若き「和」を訪ねて>飛び出す新たな感性 共立女子中学高等学校・能楽部

伝統芸能

2017年4月21日

 校舎内の和室に、女子生徒たちの朗々とした声が響き渡る。謡(うたい)の教本を見ながら能楽部員が声をそろえる。これに仕舞(しまい)が加わり、一人舞の「殺生石(せっしょうせき)」、二人で舞う「小袖曽我(こそでそが)」の稽古が進んでいく。

 ここでは能でなじみ深い笛や鼓の囃子方(はやしかた)はいない。使う道具は扇だけで面(おもて)も使わない。謡と仕舞の稽古に集中している。月に一、二回、ボランティアで指導に訪れるシテ方観世流の坂井音雅の「基本をしっかり身につけさせたい」という方針に沿って稽古が行われている。

 新年度が始まり、現在の部員は中学二年から高校三年までの計十人。高校の部長木村実穂さん(17)は「三十曲くらい覚えました。好きな曲は『俊成忠度(しゅんぜいただのり)』」。高校一年の谷田真琴さん(15)は「できるのは約二十曲。好きなのは『海士(あま)(玉之段)』」。二人とも正座を崩さず、背筋をピンと伸ばして語る。

 部創立は二〇〇〇年。慶応大の能楽サークル出身の教諭が中学に着任し、部活にしたいと訴えて実現。一三年には高校にも広がった。その教諭は退職し、現在は国語科の米津彩教諭が顧問を引き継ぐ。稽古は原則月、水、木曜の週三回。稽古では制服だが、折々の発表会では着物にはかま姿で披露する。「能のことは全く知らないが、着付けはできるので手助けしています」と米津教諭。

 発表会は多く、十月の文化祭をはじめ、春には能楽師の坂井主宰の会、夏の慶応観世会能への招待などがある。三月三十一日には跡見学園と学習院女子(両校とも中学高校)と三校で構成する「謡曲仕舞連盟」の合同発表会にも参加した。

 能のどこに魅力を感じたのか。木村さんは「子どもの時から歌舞伎を見ていたので伝統芸を身近に感じていた。学校に能楽部があるのを知り、面白そうと思いました」。谷田さんは「小学校までバレエをしていて、歌に合わせて舞うのは同じ。新鮮で面白い」と話す。

 プロの女性能楽師は増えてきたが、男性中心の世界。木村さんは「長い歴史の中で培われた伝統」を認めながら、若い自分たちならではの新しい感性で楽しもうと努めている。

<共立女子中学高等学校> 東京都千代田区一ツ橋。児島博之校長。1947年に中学、48年に高校設立。4月現在、中学1002人、高校946人。高校の地理歴史部は2015年、全国高校鉄道模型コンテストのモジュール部門で最優秀賞に輝き、ドイツに招待された。

 

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