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平和を思う夏 戦後73年 各局が特番

放送芸能

2018年8月4日 朝刊

 終戦から73年。今夏も戦争の記憶を風化させないように特集した番組が相次いで放送される。戦争を知る世代が高齢化する中、口をつぐんできた人たちが今語り出した事実、平和の意味を問う内容など、改めて戦争を見つめ直す機会を各局は投げかける。 (猪飼なつみ)

 TBSは「終戦スペシャル『学徒出陣〜大学生はなぜ死んだ?』あの戦争を忘れない…」(五日午後二時)を制作した。敗戦が近いことを分かっていた若者もいたが、「命じられた死」をいかに受け入れたのか。当時二十歳前後だった元学徒の証言とともに、司会の関口宏とスタジオに招いた現役の大学生三十人らが考える。

 過酷な経験をした戦争孤児のドキュメンタリーも。NHKスペシャル「“駅の子”の闘い〜語り始めた戦争孤児〜」は、十二日午後九時から総合で放送される。親と離れ離れになった孤児は十二万人にも及び、大人たちからは「汚い」とさげすまれ、進学や就職をしてからも差別や偏見が続いた。過去を隠すしかなかった孤児たちの戦後に迫る。

 「放射線の影響は遺伝するのか」。原爆が残した命題を最新科学で解明しようとしているのは広島市の放射線影響研究所。Nスペ「広島 残された問い〜被爆二世たちの戦後〜」(総合、六日午後十時)で、この課題と、答えが出ることの影響に揺れる研究者と被爆二世の思いを追う。

 原爆供養塔に安置され、引き取られていない遺骨に焦点を当てるのは日本テレビのNNNドキュメント’18「『ただいま』と言えない… 〜原爆供養塔に眠る814人〜」(五日深夜零時五十五分)。広島テレビ制作。なぜ名前が判明しても引き取り手が現れないのか。遺骨をめぐる家族の思いを伝える。

◆広島の衝撃に向き合う NHK「夕凪の街 桜の国」

 広島原爆の惨禍と現代を結ぶドラマ「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」がNHK総合で六日午後七時半から放送される。原作はこうの史代の同名漫画で、広島局の制作。主演の常盤貴子は記者会見で「原爆の衝撃を濁さず描き、真摯(しんし)に向き合った作品」と話す。

 ドラマは現代と原爆投下から十年後の一九五五(昭和三十)年を行き来する。現代のある日、七波(ななみ)(常盤)が外出した父(橋爪功)を追いかけて行くと、行き先は広島だった。父は亡くなった姉皆実の足跡を尋ねていた。一方、六十三年前の広島。二十三歳の皆実(川栄李奈)は原爆による心の傷に悩みながらも職場の青年と恋に落ち、一歩を踏み出しかけていたが…。

 川栄は「被爆した人に話を聞いたり、台本を読んで感じたりしたことを込めて演じた。当時はどういう気持ちで笑顔で過ごしたのだろうと(皆実の母役の)キムラ(緑子)さんと何度も話し合った」と振り返る。キムラは「脚本の人物の生き方を伝えるのが役者だと思うが、いくら想像しても足らず、本番中も悔しかった。でも、信じられない出来事があったことを、少しでも考えてもらう作品になれば」と話した。

 常盤は「今の広島が穏やかなのは、多くの人が平和の祈りをささげている場所だからなのではないか。私自身、広島に行ったのは初めてだった。まだ行ったことがない人が知るきっかけになれば」と語った。

 

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