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早くもシーズン開幕! 盆踊ラー、うずうず

放送芸能

2018年6月24日 朝刊

 盆踊りの季節がやってきた!! まだ梅雨も明けてないなどと嘆くことなかれ、江戸三大祭りの一つ、東京・日枝(ひえ)神社「山王祭」の盆踊りが十三〜十五日に行われ、今年の盆踊りシーズンが幕を開けた。各地の盆踊りを渡り踊る「盆踊(ぼんおど)ラー」と呼ばれる熱烈な愛好家も急増中とあって、ブームの予感も。せっかくの夏の風物詩。お囃子(はやし)が聞こえてきたら…、さあ踊らにゃ、ソンソン!! (池田知之、藤浪繁雄)

 「明けましておめでとうございます!」。国会議事堂にも近い日枝神社の境内に、そんなあいさつが飛び交う。四百年近い歴史を誇る山王祭の盆踊りは、盆踊ラーの間で「開幕戦」と位置付けられる。

 杉並区の会社員梶川晴彦さん(38)と響子さん(33)夫妻は根っからの盆踊ラー。二人は三年前の七月、靖国神社(千代田区)の「みたままつり」で知り合い、昨年六月に結婚。年間約八十カ所の盆踊り会場を巡ってきた。シーズン開幕を待ちかねた梶川さんは、生後六カ月の長女を抱っこして踊りの輪に参加。「高揚感があり奥も深い。何より楽しい」と興じた。

 本来は先祖の供養を目的に行われてきた盆踊りだが、近年は「お祭り色」が強まり、池袋や日比谷の盆踊り大会は夏の人気イベントに。昨年始まった渋谷の盆踊り大会は数万人が集まるメガ大会となった。

 また、会場で流れる曲も「東京音頭」や「炭坑節」といった定番曲に加え、「オバQ音頭」などのアニメソング、荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」や松平健さんの「マツケンサンバII」など多彩に。お年寄りだけでなく、若者も楽しめるダンスイベントの様相を呈している。

 盆踊り会場を訪ね歩き、ブログで「東京盆踊り情報」を発信する熟練の盆踊ラー山崎英一さん(71)の推計では、都内の盆踊り大会は大小約三百。山崎さんは地域外の人や初心者でも「追い出されることはない」といい「みんなと踊る一体感と、人との出会いが魅力。気軽に参加してほしい」と話す。

◆上野ではオフも!

 盆踊り大会の多くは七、八月に集中するため、オフシーズンも踊りたいという盆踊ラーの願いに応えているのが、東京・上野を拠点に活動している愛好家グループ「厚澄会(こうちょうかい)」。三年前から上野公園で月二回ほど「盆踊り会」を開催しており、午前中から夕方まで、ひたすら踊り続ける。

 六月上旬の会には、約十人のメンバーのほか、ネット情報や口コミで知った盆踊ラーが続々と集結、午後一時すぎには約八十人が三重の輪を作った。会長の細谷厚誌(あつし)さん(42)は「近所づき合いが希薄となった昨今、盆踊りがコミュニティーづくりにつながるのでは」と期待を寄せる。

◆そもそも… 「踊り念仏」が原点 戦後イベント化

 そもそも盆踊りとは何なのか。各地の盆踊りを見てきた元文化庁主任文化財調査官で、くらしき作陽大学(岡山)の田中英機客員教授(75)に聞いた。

 鎌倉時代、一遍上人が各地で広めた「踊り念仏」が原点となった。激しい跳躍でトランス(恍惚(こうこつ))状態となって仏様の姿を見ようとする信仰だ。7月13〜16日の盂蘭盆会(うらぼんえ)に先祖の霊(祖霊)を迎え、供養しもてなす風習と結びついた。それが江戸時代初期には、手ぶりや動作を美しく見せる芸能的要素が加わり、今の盆踊りのスタイルになった。

 戦後はイベント化が進み、盆踊り本来の意味を意識することは少なくなっている。阿波おどり(徳島)や西馬音内(にしもない)の盆踊り(秋田)の踊り手が編み笠で顔を隠すのは、祖霊にふんして踊り、それにより先祖と交流するという意味を残している。地方の歴史ある盆踊りでは、特に高齢者の踊りに、忘れがちな本質を感じ取ることができる。

◆振付師・真島茂樹さん「みんな同じ振りで楽しみたい」

 新作の音頭に独創的な盆踊りを振り付けているのが「マツケンサンバII」などの振付師、真島(まじま)茂樹さん。多くの人に親しまれる盆踊りとは。

 −盆踊りの依頼もいろいろあったとか。

 「マツケン−」が各地の盆踊りで流れるようになり注文が増えた。新しいドラえもん音頭(二〇〇五年)や東京・下北沢の「シモキタ音頭」(一四年)とか。「シモキタ」はどこからでも輪に参加でき、いつでも抜けられるように心掛けた。でも、皆さん踊りをなかなかやめなかったな。

 −盆踊りの振り付けがほかのダンスと異なる点は。

 一、二度踊れば覚えられるようできる限りやさしくしている。やぐらの周りを輪になったり、練り歩いたりしてもいいように考えている。マツケンサンバ風だったり腰を振ったりと、私特有の振りも入れている。

 −盆踊りに多くの人が引かれる理由は?

 みんなと一緒に、同じ振りで楽しみたいと思うのでは。徳島の阿波おどりや岐阜の郡上おどりは踊り続けても飽きないし、逆に気持ちよくなってくる。輪に入ってしまえば楽しい。

 −盆踊りを定着させるために必要なことは。

 老いも若きも、誰でも無理なく楽しめること。埼玉県川口市などの注文で、この秋の祭りで披露する「元気川口・御成道(おなりみち)サンバ」という踊りを考えた。まず私が地域の人たちに指導し、今度はその人たちが大勢に教えて回った。こうして一つの踊りをみんなで共有できたと思う。夏の盆踊りでも披露してほしいですね。

 

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