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地域おこし映画に情熱注ぐ 映画「キスできる餃子」 秦建日子監督

放送芸能

2018年6月21日 朝刊

 “ギョーザの街”宇都宮を舞台に、離婚して故郷に戻ったシングルマザーが、廃業した実家のギョーザ店の再開と新たな恋に奮闘するラブコメディー映画「キスできる餃子(ぎょーざ)」が22日に公開される。メガホンを取ったのは「映画による地方創生」に取り組む秦建日子(はたたけひこ)監督(50)。「故郷を離れ、都会暮らしをしている若い人も選択肢として故郷に戻ることも考えてもらえたら」と願いを込める。 (深井道雄)

 テレビ「アンフェア」シリーズの原作や「HERO」の脚本などで知られる秦監督は、二〇一六年公開の「クハナ!」で監督デビュー。三重県桑名市を舞台にした地域おこし映画で、それまで視聴率や興行収入を意識した仕事を長年してきた監督が「自分の人生はこれでいいのか。なにか社会貢献はできないか」と自問し、新たに挑戦した意欲作だった。

 広告代理店から宇都宮市を舞台にした映画づくりを打診された監督は、横浜で開かれていた宇都宮餃子のイベントを取材。日本で唯一のギョーザの協同組合だという宇都宮餃子会の熱意も知り、全面協力の約束も得られたという。

 以来、監督は何度も宇都宮に足を運び、主なギョーザ店を食べ歩き、店主の話を聞いた。商業映画と違い、協賛企業集めも自ら行ったという。「ギョーザが出発点だが、食バトルものや観光ムービーにはしたくなかった。ギョーザとイメージの離れたものをと考え、恋と組み合わせたら“化学反応”が起きるのではと、まずタイトルが浮かんだ」

 昨年八月にクランクインし、三週間余りの撮影には市民ら千人を超える人がエキストラとして協力。ギョーザ店の再開と恋の始まりが描かれるほか、年老いた父と出戻った娘、シングルマザーと幼い娘の関係など普遍的なテーマも盛り込まれた。

 「協賛営業させたら日本一」と笑わせる秦監督だが、作品の内容については「協賛者の要望でも自分がおもしろいと思わなければ、映画には盛り込みません」とクリエーターの顔に。「映画はその時の町の記録であり、企画立案から公開まで、二、三年かかる長いお祭り。その間の楽しさが全国の見る人に伝わると、町に関心を持ってくれる人も増える」と熱く語る。

 次作も岐阜県での製作がほぼ決まっているという秦監督は「商業映画とはまったく作り方が違う。地方創生映画はライフワーク」と話した。

<あらすじ> 離婚した陽子(足立梨花)が一人娘を連れて故郷に帰ってくると、父の体調不良で実家のギョーザ店は閉店していた。店の再開を決意する陽子。宇都宮餃子会に再加盟するため、陽子は独自のギョーザを試作するが、父にも餃子会にも認めてもらえない。そんなとき、プロゴルファーとしての将来に悩み、新聞配達をする亮(田村侑久(ゆきひさ))に一目ぼれする。

 

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