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AKB総選挙 名古屋開催16日 低迷ナゴヤ救ってちょ

放送芸能

2018年6月3日 朝刊

 AKB48グループ恒例の「選抜総選挙」が16日、名古屋市で開かれる。今年は海外2グループも初参戦し過去最高の339人が立候補。53枚目のシングル曲を歌う選抜メンバー16人をファンの投票で決める。トップ当選が期待されるのは地元SKE48の松井珠理奈(じゅりな)さん(21)。折しも、プロ野球の中日ドラゴンズは昨年まで球団史上初の5年連続Bクラスと低迷。サッカーJリーグの名古屋グランパスエイトもJ2自動降格圏にあるとあって、名古屋の元気がない。SKEが名古屋を救う!? (鈴木伸幸)

 「珠理奈さんと『名古屋で総選挙をやろまい』と約束して、それが実現。ゲット、ナンバーワン。皆さん、珠理奈さんに投票したってちょ」。総選挙開催に名古屋市の河村たかし市長(69)の鼻息は荒い。経済効果も期待されるとあって「ホテルも埋まって、若い人がそろわれて(集まって)エネルギーを感じられると、これまたええ」とノリノリだ。

 総選挙を一カ月後に控えた五月十七日、ナゴヤドームで行われた中日対広島戦の始球式に松井さんが登場した。ドラファンの会社員浜口颯太朗(そうたろう)さん(20)は「SKEが応援大使になってから、ドラの調子は上向き。SKEが名古屋を盛り上げてくれれば」と歓迎。会社員清水通(とおる)さん(57)も「名古屋は名物や見どころもたくさんある。総選挙目当てでいいから大勢集まってほしい」とアピールする。

 名古屋には、ローカルアイドルが育ちやすい環境があるという。著作「ご当地アイドルの経済学」で知られる上武大学(群馬)の田中秀臣教授(経済学)は「地方都市の人口減少が続く中、名古屋市は増加傾向。自動車産業を中心に地元経済は強く、若者を引きつける。その世代がSKEを支えている」と解説する。

 AKB初の姉妹グループとしてSKEが誕生したのが二〇〇八年。市場規模からすれば大阪が定石だが、選ばれたのは名古屋だった。田中教授は「大阪経済は低迷していた。自宅通勤、通学が多く、資金力のある若者が多い名古屋は正しい選択。だから、SKEがAKBグループで一番成功した」と言う。

 今回、SKEには地元開催の追い風が吹く。三年前に福岡で開催された大会で地元HKT48の指原莉乃さん(25)は王座を奪還。大分出身の指原さんはここで勢いに乗り、前人未到の三連覇を果たした。

 愛知、岐阜、三重の三県出身者が多いSKEには、熱心な地元ファンが多いと指摘するのは、アイドル事情に詳しい光文社エンタテインメント編集部の青木宏行編集長。「かつての星野仙一投手のようにドラゴンズにはジャイアンツ戦になると、やたらと燃える選手がいる。名古屋には東京に対抗意識を持つ人が多い。AKBへのライバル心もあって、SKEファンは熱いのではないか」

 その上で、仲間を「ツレ」と呼ぶ名古屋弁になぞらえ「均質で排他的ながら、一度仲間として認めると大切にするのが日本人気質。SKEという仲間を身内のように思う『ツレ文化』の名古屋人は、ザ・ニホンジン。総選挙は盛り上がりますよ」と話す。

 そんなムードに水を差すのは、著書に「真実の名古屋論」がある評論家で、名古屋出身の呉智英(くれともふさ)さんだ。「総選挙ったって一人一票ではなく、CD買えば一票で、いわば金権政治による単なる人気投票」と手厳しい。「商売上手な芸能プロデューサーが『総選挙』という絶妙なネーミングで創造した一過性のお祭りに、自治体まで乗せられてどうするの」と苦言を呈する。

◆じゅりな 悲願の天下獲り「時は来た」

 十一歳でSKE入りし、常に先頭に立ってグループを引っ張ってきた松井珠理奈さんはここ数年、指原さんやAKB渡辺麻友さん(24)=昨年十二月で卒業=の後塵(こうじん)を拝してきた。二人のいない今年、最大のチャンスとなる。

−総選挙が迫っている。

 「時は来た」とツイッターに書かせてもらった。今年でSKE誕生から十年、私もデビュー十周年、総選挙も十回目。しかも、地元の名古屋で。「獲(と)らなきゃ」とプレッシャーを感じる。一番特別な総選挙になると思う。

−松井さんは一昨年、昨年と三位だった。

 上位ランクインの人数でSKEが一番多かった年もあった。名古屋のファンは熱い。名古屋開催はファンのモチベーションになる。トップを取り、愛知を盛り上げ、名古屋の魅力を全国に伝えたい。指原さんが一位になってHKTを盛り上げたように、SKEを盛り上げたい。

−自信は?

 何があるか分からないのが総選挙。みんなにチャンスがある。SKEの須田亜香里ちゃん(26)やHKTの宮脇咲良ちゃん(20)にも。指原さんと渡辺さんが感じたであろう重荷を初めて感じている。

−総選挙とはどんなもの?

 最初は「何で総選挙? 何で順位を付けるの?」と嫌だったけど、総選挙は通知表のようなもの。ファンは優しくて、どんなときでも声援を送ってくれるから自分を見失いがちになるが、総選挙で順位が上がったり、下がったりすれば「なぜ」と自分を見詰め直すことができる。それに自分だけではなくてファンと一緒に戦うことが大切だと思う。

−ドラゴンズやグランパスも不振。松井さんに名古屋の期待がかかる。

 今年四月にSKEはドラゴンズの応援大使になった。それから、ドラゴンズが連勝するようになった。SKEがドラゴンズにパワーを送り、ドラゴンズがパワーをくれて、互いに助け合っていければ一番いい。

 

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