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いま「リバーズ・エッジ」 行定監督 岡崎京子の漫画を映画化

放送芸能

2018年2月15日 朝刊

本作を撮って「岡崎京子さんの作品に、これまでも(映画を作る上で)いかに影響を受けていたか感じた」と話す行定勲監督=東京都港区で

 漫画家岡崎京子の代表作「リバーズ・エッジ」が映画化され、16日に公開される。若者の心の揺らぎを描き、雑誌連載から20年以上が過ぎても世代を超えて支持される人気漫画で、恋愛・青春映画に定評のある行定勲(ゆきさだいさお)監督(49)がメガホンを取った。「時間がたった分、あの時代が何だったのか、主人公たちが立たされた『川の淵』とは何だったのかが明確になったような気がした」と今、映画化した意義を明かす。(猪飼なつみ)

 行定監督は一九九〇年代に原作を読んでいたが、映画化する気はまったくなかった。「当時先輩の監督たちが映画にしたいと言っていたけれど、これは到底できないと思っていた。そこに明確に描かれていない、ぞわぞわするようなものに翻弄(ほんろう)されて読んでいた気がするから」と振り返る。

 きっかけは、主人公ハルナ役を務めた二階堂ふみからの提案だった。「ハルナを演じてみたい。映画にできますか」。自分より二十歳以上も若い二階堂が心を揺さぶられていた。改めて原作を読み返し、物語に普遍性があると気付いた。

 「ナラタージュ」や「世界の中心で、愛をさけぶ」など小説の映画化は数多く手掛けてきたが、漫画の映画化は避けてきた。「小説は行間で自分の心情のまま作り替えることもできるけど、漫画はキャラクターの外見も含め描かれているものがすべて。監督の個性を入れて映画にするのが有効でないものがほとんどだと思う」

 しかし、この原作は「時代の空気が余白に描かれているから、映画にする価値があると思った。岡崎さんの漫画は小説に近い」と感じたという。

 ストーリーや空気感は原作を尊重する一方、物語の合間に各登場人物へのインタビュー場面を挿入した。「若い観客に、登場人物たちも自分と同じ人間だと感じてほしかった」と、その狙いを明かす。

 そのシーンは、役者が原作を読んでそれぞれの演じる役のことを考え、基本的にアドリブで話した。「各キャラクターが話している設定だけど、それぞれがどこかで個人の思いをにじませている。今を生きる彼らにしか答えられないものがある」。特にハルナ(二階堂)へのインタビューから監督自身が気付かされたことがあったという。「岡崎さんがこの作品に託したメッセージは『生きる』ということなんだと思った」

 本作は十五日に開幕するベルリン国際映画祭で、観客賞の対象となるパノラマ部門のオープニング作品に選ばれている。

 <あらすじ> ハルナ(二階堂)は、恋人の観音崎(上杉柊平)がいじめていた山田(吉沢亮)を助ける。山田はハルナを河原に連れて行き、以前見つけた白骨死体を宝物だと言って見せる。後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)も白骨の秘密を山田と共有しており、三人は特異な友情で結ばれていく。ゲイであることを隠して売春する山田、摂食障害のこずえ、何事にも執着できず空虚な日々を過ごすハルナ。彼らのよどんだ日常が動きだす。

 

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