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婚カツより落カツです 落語界も女性の時代!?

放送芸能

2018年1月14日 朝刊

 落語界に女性旋風が吹き始めている。女性の躍進が目覚ましい講談や浪曲に比べ、同じ話芸でありながら女性噺(はなし)家の少なさが際立っていたが、ここに来て東京の中堅・若手が一念発起。所属団体を超えたユニット「落語ガールズ!」を立ち上げ、元気な高座を披露している。長い間、男性が幅を利かせてきた落語界にあって、女性が新たな道を切り開こうとしている。 (神野栄子)

 「私たち、婚カツより落カツです!」

 昨年十二月、東京・西新宿で開かれた「落語ガールズ!」の旗揚げ公演。メンバーが高らかに宣言すると、狭い会場を埋め尽くした約四十人の観客から大きな拍手が起こった。一昨年三月に真打ち昇進を果たした林家ぼたんさん(37)。泥棒と夫婦の掛け合いで笑わせる古典落語「締め込み」の熱演に、男性ファンから「何かホッとするね」と笑顔が漏れた。

 ガールズは二十代から四十代の十三人。所属する団体や流派を超えて、日頃から親交を深めている噺家たちが結成した。立川こはるさん(35)は「男性に対抗しようというより、とにかく自分たちの高座に親しんでほしい」と思いを語る。

 三百年以上も昔に誕生した落語の世界にあって、女性落語家の歴史はまだ四十年余り。現在、東京では男性の落語家が約五百人いるのに対し、女性は約三十人だけだ。講談や浪曲の世界では全体の人数こそ落語家より少ないものの、最近の女性の増加で今では女性が多数派となっている。

 演芸評論家の布目英一さんは「浪曲には節、講談には調子といった型がある。それに乗せていけば女性の演者でも違和感なく観客を楽しませることができるが、落語は女性の目線で噺を組み立て直す必要もある」と話し、女性が落語を口演する難しさを指摘する。

 古典落語には吉原などの遊里を舞台にした廓噺(くるわばなし)もある上、男性の目線で作られた演目も多い。女性の弟子入りを認めない噺家も珍しくない。ある落語評論家が「落語は男性に限る。女性の高座はリアルになり過ぎて違和感がぬぐえない」と言うように女性の落語に批判的な意見も少なくない。

 女性落語家の第一号となった上方の露(つゆ)の都(みやこ)さん(61)は一九七四年の入門。「当時は『声が気持ち悪い』と言われ、『女には古典はできない』とけなされた。今でも風当たりは強い」と明かす。十年ほど前の落語ブーム以降、女性の入門者も増え、今では女性五人と男性一人の弟子を持つ。「弟子には『落語は男のもん、ということを頭に入れて頑張れや』と話している。その上で『このネタなら女性の方がいい』という高座を目指してほしい」と激励する。

 九三年に東京で女性真打ち第一号となった三遊亭歌る多さん(55)は「楽屋での着替え一つとっても苦労した。常に女性という意識を持って、自分の“売り物”となる芸を創り、磨いていくしかない」と話す。

 ガールズの登場で注目を集める女性落語。今月三十一日には東京・新宿末広亭で「落協レディース只今(ただいま)参上!」と銘打った落語会が開かれ、落語協会所属の女性十八人が総出演する。

 東京・神保町で「らくごカフェ」を営み、女性落語家の会をたびたび開く青木伸広さん(47)も「女性噺家が異色ではなくなり、男性にはない可能性が広がっている」と期待する。

 ガールズは月二回程度、公演を開いていく。まとめ役の春雨や風子さんは「競い合ってメンバー全員で成長していきたい」と気合を入れる。今月の公演は十六日と三十日の午後七時半から、東京・西新宿のミュージック・テイト((電)03・5332・6396)で。

◆身の丈にあった芸を 山田邦子に聞く

 笑いに生きる女性がブレークし、ずっと一線で輝き続けるにはどうすればいいのか。落語ガールズのメンバーの憧れだという女性芸人で、落語にも詳しい山田邦子さん(57)に聞いた。

−落語ガールズが旗揚げされました。

 すごい時代が来ましたね。私がデビューした時(1981年)は独りぼっち。男社会の中にずっといましたから。

−個性を発揮するには?

 大切なのは、私はかわいらしいのか、ズッコケなのかといった“自分探し”。人から「あだ名」をつけてもらったら最高、それを自分のチャームポイントに変えていく。美しい人はユニークなネタをやる。個性的な顔の人はいい女をやってみる。逆のことをすると、そのギャップがまた面白い。

−心掛けるべきアドバイスを。

 きっぷのよさもいいけれど、気立てのよさは大切。人の意見も聞いた方がいいかもしれない。私は「女だからできること」を意識して、女性の職業に目をつけた。「バスガイド」で大当たりし、主婦ネタも受けました。

−女性は結婚や出産などハンディがありますが?

 「男の人にはできない経験ができる」と考えるとネタが一つできます。失恋のこともいいと思う。できないことを数えていくのはやめた方がいい。

−輝き続けるには?

 無理しないことでしょうか。身の丈にあった芸を見せていくことかな。趣味を持つのもいいです。「人を笑わせる」というのは素晴らしい仕事。しかも着物姿でしょ、粋でかっこいい。自信を持ってやっていただきたい。特に古典落語は語り継いでほしいですね。

 

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