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日本が舞台の「KUBO/クボ二本の弦の秘密」 ブラッド・シフ 繊細な表情づくりに苦心

放送芸能

2017年11月16日 朝刊

 日本を舞台にしたストップモーションアニメの米国映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(トラビス・ナイト監督)が、18日公開される。製作を統括するアニメーションスーパーバイザーのブラッド・シフ(47)が来日し、本紙の取材に「僕たちが一生懸命作った日本へのラブレター。日本の方たちにこそ見てほしい」と熱く語った。 (猪飼なつみ)

 ストップモーションアニメは人形や模型を少しずつ動かして1コマずつ撮影する。アニメーター1人が1週間で製作できる映像はわずか3.31秒。1時間43分の本作のため、35人がかりで作ったのは13万3096コマに上り、2年を要した。

 日本を舞台にした理由について、シフは「日本文化が大好きな監督がクボをぜひ映画化したいと。僕も日本の映画やアニメが大好きだった。宮崎駿作品や攻殻機動隊、ウルトラマンも」と笑顔を見せる。

 好きだからこそ間違いがないよう、徹底的に日本の文化や風習を研究した。葛飾北斎や木版画家斎藤清(1907〜97年)の版画を思わせる風景や、盆踊りや灯籠流しの場面はわれわれが見ても違和感がない。

 不思議な力を持つ主人公のクボが落ち葉で千石船を造る場面や巨大な骸骨が登場する場面は、大がかりな模型で迫力のあるシーンに仕上げた。しかし、シフは「最も大変だったのは、観客の心を動かすようなクボの表情を作ること」と挙げる。特に冒頭、クボが母親に向ける複雑で繊細な表情は一番苦心したという。「アニメーターたちの腕がなければできなかった。何度も映画を見ているのにいまだに泣けてしまう」

 キャラクターを生き生きと見せるために用意されたクボの表情は4800万通り。「まずコンピューターでクボの表情の3Dモデルを作り、アニメーターとクボらしい表情を決めていく」。顔は上半分の目元と下半分の口元のパーツに分けて3Dプリンターで作り、それを1コマずつ入れ替えながら豊かな表情を作り上げた。

 表情だけでなく、髪や衣装の動きにも自然さを求めた。そこまでこだわるのは「人形を使ったアニメであることを忘れてほしいから。キャラクターが生きているように感じ、物語に没入してほしい」と言い切る。

 企画から公開まで5年。気の遠くなるような作業にも「僕らがストップモーションアニメを愛しているから。それに観客が意識しなくても、手作りの温かみが伝わると思う」と照れたように笑った。

<あらすじ> 三味線の音色で折り紙を操る少年クボは、追っ手から逃れて母と暮らしていたが、居所を突き止められ、母を失う。闇の魔力を持つ追っ手に勝つため、毒舌のサルと弓の名手クワガタを仲間に、三種の神器を探す旅に出る。

 

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