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映画「あゝ、荒野」 21日「後篇」公開 孤独な2人“拳”で見せる

放送芸能

2017年10月19日 朝刊

 1960年代から70年代にかけて演劇界や文学界を席巻した寺山修司がのこした唯一の長編小説「あゝ、荒野」が映画化された。原作の舞台を近未来の2021年に移し、岸善幸監督が前後編合わせて約5時間の大作に仕上げた。公開中の「前篇」に続き、21日には「後篇」が始まる。ダブル主演の菅田将暉(24)と韓国人俳優ヤン・イクチュン(42)に作品への思いを聞いた。 (猪飼なつみ)

 菅田が演じるのは世間に反発し、エネルギーを持て余して暴れ回る新次。菅田は「もともとは普通のどこにでもいる子。でも、母親に捨てられ、仲間に裏切られ、愛情を知らない」と話す。

 一方、父から虐待を受け、引っ込み思案の建二を演じたヤンは「僕と似ているところがある。消極的だけど実は大声で叫びたい、表現したい、歯向かいたい。強い欲求が内部にある」と説明する。健二は吃音(きつおん)障害のある難しい役で、ヤンは「僕にとって日本語は外国語。うまくできたか不安が残る」と打ち明ける。

 孤独な二人はボクシングジムに誘われ、ジムに寝泊まりしてトレーニングに励み、心の空白を埋めるように、ボクシングにのめり込んでいく。

 役のため、細身の菅田は撮影の半年ほど前からボクシングのトレーニングを始め、体重を約十キロ増やした。「腹筋って割れるんだと思った。割れたことがなかったから」。逆にヤンはジョギングなどで十キロほど減量し、二十キロほどあった二人の体重差を埋めた。

 親友のような二人の関係は物語が進むにつれ、複雑になっていく。後篇は二人の対決が見どころだ。

 ヤンは「気持ちが混乱した。新次とは兄弟や家族以上の深い心の触れ合いがあったのに。二人とも無意識のうちに、ただ勝つためだけでない何かがあるという気持ちで演じていた」と振り返る。菅田は「セレモニーのよう(なラスト)にしたいと岸さん(監督)とも話していた。記憶に残るシーンにしなければいけないと思っていた」と熱く語った。

 

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