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映画「エタニティ 永遠の花たちへ」 トラン・アン・ユン監督 人生は一瞬の積み重ね

放送芸能

2017年9月28日 朝刊

 村上春樹氏のベストセラー小説を映画化した前作「ノルウェイの森」から7年、ベトナム出身のトラン・アン・ユン監督の新作「エタニティ 永遠の花たちへ」が30日、公開される。オドレイ・トトゥらフランスの実力派女優をそろえ、運命に翻弄(ほんろう)されながらも、母から娘へ命を紡いでいく女性たちを描いた。 (鈴木学)

 「原作の小説を見つけたのは『ノルウェイの森』の直後。すぐシナリオを書いたのですが、映画の資金を集めるのに3年かかった。私の作品はどうも資金集めが難しいようで。私としては2年に1本くらい撮りたいんですが」と苦笑する。

 ブルジョアの娘バランティーヌは20歳で結婚し男児4人と女児2人を授かるが、双子の息子が戦死、娘たちとも相次いで別れが訪れる。失意の彼女を救ったのは、息子アンリと幼なじみマチルドの結婚だった。しかし、マチルドにも悲しい運命が待ち受けていた…。

 タイトルの意味は「永遠」。本作はその永遠の視点で描いたという。

 「長い時の流れの中では『先祖にこういう事があって…』と語る時、細部は消えてしまいますよね。出会って愛し、子どもが生まれ永遠の別れが来る。そんな瞬間の連続がこの映画で、シーンの接ぎ目をあいまいにして短い瞬間を重ねるようにつくりました」

 せりふは少なく、映像と音楽で補っていく。それにより、見る人が「この場面の意味は何か」と自問することを狙ったという。

 例えば、少年期のアンリがマチルドと架空の自転車に乗る場面がある。監督は言う。「私はあそこが2人の本当の結婚だと思っています。アンリはマチルドを信用し、彼女に任せている。それはまさに結婚ではないかと思うんです。それぞれの瞬間にはそれぞれ深い意味があります」と力を込める。

 「青いパパイヤの香り」(1993年)、「夏至」(2000年)など、世界で高い評価を得てきた。作品づくりについて「ルールを持たないのが私のルール」と話す。「あえてルールを挙げるとすれば、一つ映画を撮ったら、次の作品はまたフレッシュな気持ちで始める。前のことは忘れるようにしています」

 撮りたい作品は多く、現在も四つほどアイデアがあるという。一つはフランスの美食についての映画。子どもが遊びを通じ人生を発見していく作品も考えている。「次に私の作品に会えるのはいつか? 私にも分かりません」。また苦笑いした。

◆オドレイ・トトゥ 魅惑の瞳 フランスの国民的女優

 キュートで魅惑的な瞳を持つフランスの人気女優オドレイ・トトゥ。大ヒット映画「アメリ」(2001年)の主役で世界に羽ばたいた。

 新作「エタニティ 永遠の花たちへ」は、オドレイの他にメラニー・ロラン、べレニス・ベジョというフランスを代表する女優をそろえた。誠実な夫を得て、子に恵まれたブルジョア家庭の娘がオドレイ、その息子の嫁がメラニー、その親友がべレニスという配役。

 1976年8月9日生まれ、フランスのボーモン出身。幼いころからコメディーが好きで、パリの演劇学校を卒業。99年の「エステサロン ヴィーナス・ビューティ」でセザール賞の有望若手女優賞を受賞。「アメリ」の後は「ダ・ヴィンチ・コード」「ココ・アヴァン・シャネル」など多くの出演作がある。

 

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