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<知りたいコトバ 知っている?言葉>絶唱

NIE

2018年7月18日

 「和泉式部(いずみしきぶ)の絶唱」という表現で頭に浮かぶのは和泉式部が力いっぱい歌う様子でしょうか。でも何か変です。絶唱を広辞苑で引くと(1)極めてすぐれた詩や歌(2)声をかぎりに感情をこめて歌うこと−とあります。冒頭の表現は(1)の用例として広辞苑に載っており、和泉式部の傑作という意味です。

 (2)の「熱唱」の意味は後からできたようです。絶叫と熱唱の組み合わせでしょうか。広辞苑に熱唱の意味が入ったのは、一九九一年の第四版からです。岩波国語辞典は「近ごろ『熱唱』に近い意味で使うこともあるが、俗用」と説きます。本紙の過去記事は熱唱の意味が目立ちます。最近では亡くなった西城秀樹さんを「長い髪を振り乱して歌う『絶唱型』」と説明する記事がありました。

 三省堂国語辞典は「死のまぎわに<となえること/歌う歌>」と、「絶筆」に通じる意味も載せています。用例を探すと、中日新聞の書評記事に「死の間際まで書き続け、<絶唱>の一冊を残した」との表現がありました。 (重松洋一)

 

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