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<学校と新聞>輪番スクラップ 卒業生の努力と苦労の結晶

NIE

2017年4月4日

3月に卒業した3年生有志が輪番で作成した新聞スクラップ

 「また新聞スクラップが行方不明になりました」と竣汰くんの悲痛な声。「何回目?」「三回目です」「誰が持っているかわからないの?」「探します」

 このやりとりも三回目。やはり生徒だけで進めるのは難しいのか、と少し弱気な私。昨年度、三年生は有志の輪番制で新聞スクラップをしました。学級委員、生徒会役員、生活委員、図書委員らがメンバーでしたが、予定通りにスクラップノートをまわし、一冊を完成させることができません。誰が持っているのか分からなくなる度に、竣汰くんが私のところに来ました。

 このままでは受験前に終わらないと十一月、リーダー三人と図書室で緊急ミーティング。「毎日交代でスクラップをするルールですがすぐやらない人がいる」と竣汰くん。「止める人は一週間以上、平気でもっている」と彩莉さん。

 私は解決策を考えるよう指示。百葉さんは「この三人が各クラスの最初の当番になり自分のクラスは責任をもって回す」と話し、彩莉さんが「スクラップノートに順番を書こう」と提案。竣汰くんは「冬休み前までに先生にノートを渡せるように頑張る」と力強く決意しました。しかし、冬休み前になってもノートは私のもとに届きません。

 完成は無理か、と諦めかけていた一月の都立推薦入試の一週間前。竣汰くんに廊下で声をかけられました。「先生」と元気のない声。やはり終わらなかったかと思いましたが「無事終わりました」。ほっとした表情でした。相当な重圧だったことに初めて気づきました。

 受験後、リーダーたちが図書室に再集合。前回参加できなかった日那さんも入って一年間を振り返りました。「みんなが、あまり気づかない記事も多く選んでいて面白かった」「文字を読んでできごとを理解しようとするので読解力がつく」「記事の要約を書くときに自分が分かっていないと書けないので難しい言葉は必ず調べた」「レイアウトやまとめ方を後輩が参考にしてくれるとうれしい」

 竣汰くんが「できれば学年全員でやりたかったな」。「確かにね。でも紙で残るものは後輩も読むことができる。この学校の歴史として積み上がっていく最初の学年として、私たち頑張ったよね」と日那さん。

 スクラップブックは図書室入り口に展示されています。

 (公立中学校主任教諭・穐田剛)

 

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