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<AI編>友だちロボが見守るよ

親子で学ぶぅ

2018年5月1日

保育室で「みーぼ」君と遊ぶ子どもたち=東京都世田谷区の駒沢こだま保育園で

 東京都世田谷区(せたがやく)の駒沢(こまざわ)こだま保育園(ほいくえん)。ここには乳幼児(にゅうようじ)が登園(とうえん)する時と帰宅(きたく)する時に、出入(でい)り口(ぐち)で見守(みまも)るロボットがいます。世界初(せかいはつ)の乳幼児見守りロボット「MEEBO(みーぼ)」君です。

 身長約(やく)28センチ、体重(たいじゅう)約1キロ。保護者(ほごしゃ)がQR(キューアール)コードをかざすと、園児(えんじ)が何時(なんじ)に来て何時に帰ったかを記録(きろく)してくれます。これなら、園児が何時から何時まで園内にいたかすぐに分かりますね。

 みーぼ君の魅力(みりょく)はこれだけではありません。園児の顔(かお)を自動的(じどうてき)に探(さが)して撮影(さつえい)したり、簡単(かんたん)なクイズをだしたり、踊(おど)ったりすることもできます。だから、園児には大人気(だいにんき)です。

 みーぼ君を開発(かいはつ)したユニファ(名古屋市(なごやし))社長の土岐泰之(ときやすゆき)さんは「人工知能(じんこうちのう)(AI)とからめれば、みーぼとの対話(たいわ)を通じて、子どもの発育支援(はついくしえん)ができるようになるかもしれない」と期待(きたい)します。

 「例(たと)えば子どもの体(からだ)に小(ちい)さなセンサーをつけておくと、呼吸(こきゅう)の深(ふか)さからどの遊(あそ)びに一番夢中(いちばんむちゅう)になっていたかや、どれくらいの時間集中(じかんしゅうちゅう)できていたかが分かる」と土岐さん。それぞれの子どものデータを集(あつ)めて、その子に合った遊びや教材(きょうざい)を提供(ていきょう)できるようになる、といいます。

 保育士(ほいくし)さんが「来週(らいしゅう)は○ちゃんに何(なに)をしてあげたらいいかな」と聞くと、みーぼ君が「○ちゃんはこの遊びに夢中だよ」とアドバイスする−。そんな日が来るかもしれません。

 もうひとつ期待できるのは、子どもの健康管理(けんこうかんり)です。土岐さんが目指(めざ)すのは、子どもの体温変化(たいおんへんか)、睡眠中(すいみんちゅう)の呼吸などの情報(じょうほう)をデータ化し、ベテランの保育士さんでないと気づけないような体調悪化(たいちょうあっか)のサインを、気づける仕組(しく)みづくりです。土岐さんは「乳幼児の突然死(とつぜんし)をゼロにしたい」と話しています。

◆「現代の魔法使い」落合陽一さん AIは魔法のアイデアをくれる

 皆(みな)さん、人工知能(じんこうちのう)という言葉(ことば)を聞いたことがありますか。人間(にんげん)のように考えるコンピューターのことで、英語(えいご)では「AI(エーアイ)」と呼(よ)ばれています。何(なん)だか難(むずか)しそうな言葉で、皆さんにはあまり関係(かんけい)ないように思うかもしれませんが、実(じつ)は私たちの生活(せいかつ)にすっかり溶(と)け込(こ)んでいるのです。AIの研究者(けんきゅうしゃ)で「現代(げんだい)の魔法使(まほうつか)い」と呼ばれる筑波大学准教授(つくばだいがくじゅんきょうじゅ)の落合陽一さん(30)に、いろいろと聞いてみました。

 −AIという言葉をよく聞くけど、どのように活用されているの?

 「一番(いちばん)分かりやすいのは、グーグルマップかな。例(たと)えば、家族(かぞく)で海水浴(かいすいよく)に行く場合(ばあい)、たくさんあるルートのうち、どの道路(どうろ)で行けば一番速(はや)いか、瞬時(しゅんじ)に計算(けいさん)してくれるでしょ。私たち人間が一つ一つのルートについてどれくらいの時間(じかん)がかかるか計算したら、大変(たいへん)だよね。それをAIなら一瞬(いっしゅん)でしてくれるよ」

 「もっと身近(みぢか)な例(れい)でいえば、スマートフォン。例えば、どのゲームで君(きみ)が遊(あそ)び、何(なに)を調(しら)べたかを記憶(きおく)して、君の好(す)きな物を推測(すいそく)するようになるんだ」

 −うーん、少しは分かったような気がする。

 「だったら、この例ならどうかな。例えば、小学生が自転車(じてんしゃ)に乗(の)れるようになるには、何度(なんど)も失敗(しっぱい)しながら、バランスを学(まな)んでいく。そして、いつの間(ま)にか乗れるようになる。AIも同じで、どうしたらいいか何度も計算しながら、一番いい答(こた)えを出すんだ」

 −AIが分からなくても、暮(く)らしていけますか。

 「AIが役(やく)に立(た)つことは知(し)っておいてほしいな。例えば、お年寄(としよ)りになって、足が不自由(ふじゆう)になったり、視力(しりょく)が低下(ていか)した人がいるとするよね。どうすれば、その機能(きのう)を回復(かいふく)できるのか。AIを使えば、その人にとって一番いい答えを見つけることができる。必要(ひつよう)な器具(きぐ)を開発(かいはつ)すれば、今までのように歩いたり、見たりすることができるようになるかもしれない」

 「もしも、生まれつき障(しょう)がいがあったとしても、同じように、それを補(おぎな)える器具を開発できる可能性(かのうせい)がある」

 −ふーん、AIってすごいんだね。

 「AIは仕組(しく)みが分かるとすごくシンプルな世界(せかい)なんだ。自転車の例に戻(もど)ると、AIは自転車を乗りこなすのはとても得意(とくい)なんだ。でも、自転車の開発はできないんだよ。だから、君たちには今の社会(しゃかい)に何が必要か考(かんが)えてほしい。そうしたら、もっと多くの人が幸福(こうふく)に暮らせるようになるかもしれない。僕(ぼく)が寝(ね)る時間を惜(お)しんで研究を続(つづ)けているのは、そのためなんだ」

<おちあい・よういち> 1987年、東京都生まれ。筑波大准教授・学長補佐。同大デジタルネイチャー研究室主宰。メディアアーティスト。学際情報学博士。1児の父。

 

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