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幼保無償化で負担軽減額試算 高所得世帯の恩恵 低所得の5倍に 

教育ニュース

2018年6月14日

 政府の「人生百年時代構想会議」は十三日、「人づくり革命」の基本構想を取りまとめた。政策の柱となる幼児教育・保育の無償化について子ども一人当たりの恩恵を試算したところ、高所得世帯の負担軽減額が低所得世帯の約五倍に上ることが分かった。試算した専門家は「高所得者優遇の政策で、少子化対策としても非効率な予算の使い方だ」と指摘している。(坂田奈央、白山泉)

 政府は二〇一九年十月、消費税率10%への引き上げ時期に合わせて幼児教育・保育の無償化を全面実施する。対象はすべての三〜五歳児と住民税非課税世帯(年収二百六十万円未満)のゼロ〜二歳児。認可外保育施設も対象とし、月三万七千円を上限に補助する。

 基本構想は骨太方針に盛り込まれ、十五日の閣議決定を目指す。

 試算はみずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストが、国が定める保育料の利用者負担の上限額などを基に行った。それによると、無償化による年収別の一人当たりの負担軽減額は、住民税非課税世帯が約六万五千円なのに対し、年収六百四十万円以上の世帯は約三十万九千円となり、その差は四・七倍だった。

 現行の認可保育施設の保育料は、所得に応じて設定されている。生活保護世帯は無料になるなど低所得世帯ほど低く、高所得世帯ほど高い。無償化されると高所得世帯ほど払わなくてもよい金額が大きくなるため、必然的により多くの恩恵を受けることになる。

 また、自治体が独自に一部負担し、高所得世帯でも最大月五万円程度であるケースが多いことから、試算では六百四十万円以上の世帯にも一律で月四万一千五百円(年収四百七十万円〜六百四十万円未満の保育料)を適用した。そのため、自治体によっては高所得者の恩恵はさらに上振れる可能性もあるという。

 年収別の無償化の恩恵について、野党議員が既に試算しているが、政府は詳細な試算を示していない。

 無償化予算全体からみると、総額を八千億円とした場合に低所得の非課税世帯に使われるのは約二百九十億円。これに対し年収八百五十万円以上の世帯には、およそ四・五倍の約千二百九十億円が使われることになる。人口比率はそれぞれ約13・7%、11・5%という。

 少子化対策としての効果に関し、末広氏は「予算の配分先として一番効果のある年収は二百万〜二百九十九万円」と説明。「年収が高くなればなるほど配分しても効果は薄くなっていく」と指摘している。

 

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