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京大入試 高度な出題がミス招く 専門家「指摘にはすぐ対応を」

教育ニュース

2018年2月2日

昨年の一般入試出題ミスについて、記者会見の冒頭で謝罪する京都大の北野正雄副学長(中央)ら=1日午後、京都市で

 大阪大に続き、京都大が一年前の入試でのミスを認めた。難関校に本来合格していた受験生が不当に門を閉ざされていたことになり、関係者の衝撃は大きい。専門家は、大学側が思考力を問おうとして出題内容が高度化する傾向があると指摘。ミスを前提に、疑義が生じた場合に迅速に対応できる体制の構築が最重要だと訴える。

 「落とし穴、トラップができてしまい、作題者もはまってしまった」。一日、京大での記者会見。北野正雄副学長はミスが生じた原因や見逃してしまった理由を問われ、こう釈明した。

 文部科学省はグローバル社会で活躍できる人材を育成しようと大学入試改革に取り組む。現行の大学入試センター試験に替えて二〇二〇年度から実施する大学入学共通テストでは「思考力・判断力・表現力」に重点が置かれる方向だ。

 桜美林大学の田中義郎教授(教育学)によると、大学が個別に問題を作成する二次試験で既に、受験生の思考力や想像力を問う問題が増加している。複雑な条件設定など出題が高度化する過程でミスが起き、作成者側が意図しない「正答」が登場するリスクが高まる。

 先に発覚した大阪大のミスは、物理科目の問題で二つの条件が考えられるにもかかわらず、一方だけを前提とした解答のみを正答としていた。京大の問題も同じ物理科目。条件が不十分で、正解が導き出せなかった。

 昨年六月に大阪大のミスを指摘した駿台予備学校物理科専任講師の古大工晴彦さんは、大学の対応の遅さを批判しつつも「条件が正しければ、理解力を問う良問だった」と指摘する。文科省幹部も「考える力をみるため出題が高度化する傾向自体は悪いことではない」。

 大阪大での入試ミスを受け、文科省は一月、全国の国公私立大に対して合否判定ミスを防ぐ対策の実施を求める通知を出した。ミスに関する外部からの指摘を受け付ける専用の窓口を省内に設置。大学側に早期の対応を促していく。

 田中教授は「出題者側は熟考して問題を作成しているため、誤りだという指摘に『間違えるはずがない』との心理が働く」と指摘。「ミスを完全になくす特効薬はない。疑義が生じた場合、第三者が速やかに検証し修正する体制を構築することが最も重要で、被害を最小限に抑えることにつながる」と話す。

◆受験生「自分なら許せない」

 「自分に起これば許せない」「時間はお金に代えられない」。京都大の入試ミスを受け、受験シーズン真っただ中の受験生や京大生からは一日、厳しい批判の声が相次いだ。

 京都市の大手予備校「駿台予備学校京都校」に通う溝端康佑さん(19)は「入試は一年間の努力を発揮する場所なので、的確な出題、判定を行ってほしい」と注文。さらに「追加合格措置自体は正しいと思うが、時間はお金に代えられない。補償や追加合格ですべて解決するわけではない」と憤った。

 別の男子生徒(19)は「ミスは誰にでも起こり得ることで、仕方のない部分はある。しっかりと訂正し、適切に対応してもらえたらと思う」と話した。一方で「本人にとって追加合格はうれしいとは思うが、一年の勉強の努力が無駄になると考えたら、自分に起これば許せないだろうと思う」とも付け加えた。

 一方、京大大学院工学研究科二年の男子学生(23)は「外部の指摘後すぐにミスを認めた大学を評価する。しかし入学が一年遅れる事実は変わらず、真摯(しんし)な対応に期待したい」と話した。

 

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