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2年後のサマータイム「不可能」 IT改修に4年3000億円

経済

2018年9月3日 朝刊

課題などについて話し合う立命館大の上原哲太郎教授(左)ら=東京都千代田区で

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として政府が検討している「夏時間(サマータイム)」について、ITに詳しい学識者が二日、東京都内で検討集会を開いた。夏だけ時間を早めるためには、多くの時間と費用をかけて社会全体のITシステムを改修しなければならず、二年後の実施は難しいとの意見が相次いだ。 (吉田通夫)

 集会は、情報法やITを専門とする学者や企業関係者でつくる「情報法制研究所」が主催し、約百二十人が集まった。

 立命館大の上原哲太郎教授は基調講演で「システム改修には四年は必要」として、二〇年の実施は「不可能だ」と指摘した。企業や自治体のコンピューターシステムの時刻設定は、自動だったり手動のタイプが残っていたりと複雑だからだ。時刻を設定するタイプの家電にも対応しなければならず、全体の改修費用は三千億円と試算。コンピューターウイルス対策ソフトの自動更新といった決まった時間に作動するプログラムに、不具合が生じる可能性などの弊害にも触れた。

 会場に集まったシステム会社の社員らからも「為替など国際的にやりとりするシステムでは、海外側にも日本の時差を認識するよう設定を変えてもらわなければならず、非常に時間がかかる」などと懸念する声が相次いだ。

 IT企業の業界団体「日本IT団体連盟」の別所直哉・政策委員会委員長は「システム面の課題に目を向けている人は少なく、このまま実施されれば大きな事故が起きるのではないかと心配している」と、拙速な実施に反対した。

 情報法制研究所は近く、議論内容を自民党に伝えることにしている。

 

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