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石弘光さん死去 元政府税調会長、一橋大学長

経済

2018年8月29日 朝刊

 政府税制調査会会長などを歴任し、税制改革に尽力した元一橋大学長の石弘光(いしひろみつ)さんが二十五日午前五時十一分、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。八十一歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。十月二日午後二時から東京都千代田区一ツ橋二の一の一、如水会館でお別れの会を開く。喪主は妻真美子(まみこ)さん。

 一橋大院修了。一橋大教授を経て一九九八〜二〇〇四年に学長。〇〇年に政府税調会長に就任し、バブル崩壊後の景気対策で重ねた減税の見直しや、消費税率引き上げといった増税路線の改革案を提起した。

 だが所得税の定率減税廃止や、配偶者控除を縮小する方向性を示した〇五年の答申が「サラリーマン増税」と波紋を呼び、自民党との関係が悪化。〇六年に発足した第一次安倍内閣は、財務省などによる石氏の再任方針を認めなかった。

 政治家にも財政再建を直言し、税調会長を無報酬で務める清廉さを貫いた。放送大学長も務め、一二年に瑞宝大綬章。著書に「財政理論」「消費税の政治経済学」など。

◆税財政 純粋に懸念

<評伝> 二十五日に死去した石弘光さんは「社会保障制度の維持には消費税増税が欠かせない」と一貫して主張するなど、財政再建を前提にした増税議論の先頭に立ってきた。政府税制調査会長を長く務め、在任中には配偶者控除や給与所得控除の縮小を提言。「サラリーマン増税だ」と批判も受けた。それでも日本の税財政の将来を心配する言葉は純粋で、野党に限らず与党内から「増税派」と非難されても、政治に忖度(そんたく)することはなかった。

 記者が石さんを取材したのは、政府税調会長として石さんがサラリーマン増税を提言した二〇〇五年ごろ。提言に対して「取りやすいところから税を取ろうとしていないか」と紙面や記者会見で指摘しても、動じることはなかった。

 だがサラリーマン増税への批判が高まり、提言後の東京都議選で自民党が惨敗。さらに「成長重視」の第一次安倍政権が発足すると、「増税派」のレッテルを貼られた石さんの政府税調会長の再任は見送られた。

 このときばかりは元気をなくしていたようにみえたが、〇七年に放送大学長に就任。しばらくすると「大学を見に来ないか」と電話があった。千葉市の大学本部では「団塊世代が大学で学ぶために力になりたい」と純粋な言葉で語った。

 一六年に末期の膵臓がんであることを告白してからも、日本の税財政の将来を心配する意見を意欲的にメディアを通じ発信。その主張が変わることはなかった。 (池井戸聡)

 

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