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トルコ中銀 揺らぐ独立 「リラ暴落止まらぬ要因」

経済

2018年8月21日 朝刊

 【ロンドン=阿部伸哉】トルコ通貨リラの暴落に対し、トルコ中央銀行が政権への配慮から効果的な通貨防衛策を避け、中銀の独立性の欠如が問題視されている。リラ反発への唯一の策とみられる政策金利利上げは、強権的なエルドアン大統領が嫌っており、混乱収拾のめどが立たない。政権との近さが指摘される日銀にも警鐘となるとの見方が出ている。

 トルコの裁判所が十七日、同国在住の米国人牧師の保釈の訴えを却下したことを受け、対米関係に改善の兆しがみえないことから、リラは再び下落局面に入った。それでもトルコ中銀は、世の中に流れる通貨量を少なくして通貨の価値を上げる利上げをかたくなに避けている。

 エルドアン氏はイスラム教の考え方が色濃く、「金利は悪」と公言。景気を冷やす効果がある利上げはそもそも、政治的に人気がない。欧州ではトルコ中銀が大統領から独立した政策に踏み切れないことが、リラ暴落の最大要因とみられている。

 リラ暴落の引き金を引いたのはトランプ米大統領によるトルコの鉄鋼・アルミニウムの関税倍増の指示だが、対米鉄鋼・アルミ輸出はトルコ輸出総額のわずか0・8%。一方、米国との問題と関係なく、政権の「バラマキ」的な政策でインフレ率は16%まで進行。それでも中銀は七月、利上げを見送り市場の失望を買った。

 「中銀の独立を維持するため、すべての努力がなされなければならない」。ドイツのメルケル首相はトルコに混乱収束への協力を申し出ながらも、中銀への政治的影響力に苦言を呈した。

 「相次ぐ粛清で政権が腰巾着ばかりで固められ、中銀は独立性を失った」と、みずほ銀行欧州資金部の本多秀俊シニアストラテジスト(ロンドン駐在)は指摘。この構図は、政権と足並みをそろえ、米欧が金融引き締めに転じる局面でも利上げに踏み切らない日銀にも重なる部分があるとみる。

 

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